戦争加害者でなく原爆を落とされなかった国だったら良かったのに
被爆者が味わった辛酸は筆舌に尽くし難いものだったろう。未経験者には想像すら出来ないし、ましてや語るなど嘘っ八百である。被爆者団体へのノーベル平和賞授与は、戦後の彼らの活動が「被爆者」の存在と原爆の実態を世界に知らしめた事にある。被爆者達にとっては長年の苦労が報われた事だろう。
しかし、被爆者団体のノーベル平和賞受賞に沸く日本の社会に違和感を覚える。そもそも真珠湾攻撃をしなければ原爆投下は無かった。遡って、満州に進出しなければ、欧米による経済封鎖もなく戦争も無かった。戦争突入を軍政府や煽った新聞のせいにはできない。国民は真珠湾攻撃を提灯行列で盛大に祝ったのだ。
また、天皇の訴追を入れた降伏宣言を終戦間際に受諾すれば、原爆は落とされなかった。天皇の訴追を拒否して原爆を落とす理由を米国に与えてしまったのだ。従って原爆投下への道を自ら開いて置いて、被爆者団体のノーベル平和賞を我が事の様に喜ぶのは理に合わない。
更に、戦後の米ソ冷戦時代には、核保有国米陣営に完全に所属し核の傘に守られ、そして経済繁栄を享受して来た日本国民は、核廃絶を団是とする被爆者団体の主張とは大きな矛盾を抱えている。この常態で、被爆者団体のノーベル平和賞を我が事の様に喜ぶのは理に合わない。
被爆者団体のノーベル平和賞は、団体関係者と被爆者自身の栄誉であるが、日本国民の栄誉ではない。国民がこれを喜べば、皮肉か冗談か偽善である。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?