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因子

二元論的な対立から深まる戦争、スケープゴートとして、存在を捧げた定理を、ミルクティーの中に溶かし、鮮明な過去を洪水に追いやった雨の形や、あらゆるカタルシスが炙り出す主観的な相違、陰湿な綻びにより、ほどけて行く瞬間の撓り、幼気な今に食い込む棘や、痩せた家々が建ち並ぶ街並み、三千世界の果てをつまむ神のような気分で唸る猫や恋人たち、普遍性のゆりかごに揺られ、季節的なざわめきを避けながら、雲を食べる蟷螂の群れ、蜃気楼を吸い込む象の鼻、暗澹とした宇宙ですら照らす女神や、躍動感に溢れたシナリオから生まれた詭弁を押し除け、全体主義的な身体を売る残骸たる彼や彼女の虚空、廃屋から伸びる手や、遊び方も知らないから、誰かを否定してばかりいるのだ、と、リズム感もないジャズマンが加速させる意味の境目、酩酊したシステムの保管場所や、バリウムの大河を越えて、偏執するためのドグマを改竄して、延命器具に囲まれたベッドの外に広がる後悔や、日銭を稼ぐために化合物の夜を走り、知らない職場に急ぐ君の赤い髪、ビジネスライクな会話や、ニヒリズムをおにぎりに詰めて、原型を留めていない恋の面影や、体外に派生する崖、プレゼントの中のニュートリノや、理論上は成立しないからこそ、この命とは、卑しくも美しく、はしたないからこそ素敵で、でたらめばかりの日常の派閥争いなんてものに参加したくもないから、焼き爛れた月の湖畔で眠り、忘我に現れる周期的な痛みを昇華させ、境目もなく愛した君との革命を終え、孤独に意味を紡ぐほどに、アイロニーばかりが、脳内で氾濫し、システマチックな何かの犬歯で噛まれ、厭うほどに増して行く割合なんかにより、感覚とは麻痺し、平行線に羽化して行く時間のようなものに加担し、感覚を麻痺させながら、選択権なんかを謳い、異物感を抱えては、大差ない今に裁かれてしまうし、許可証なんて破棄して、誰もが自由に行き来できるような普通を目指しては、手懐けられていただけの普遍性を翻し、適当に生きるのである、と、宣言する神の隣で、私は、ヘラジカに乗り、カーラジオから流れて来る流行病のような歌声に耳を塞いでいるのである。

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