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教唆

原始的な過去を保管するための、過激な信条を守り、摩耗した精神を保護するための、物質を体内に補完させるための、ウイルスと真理の戦争を続け、機械的なエネミーたちが燃やす敵愾心や、産気に帯びたリビドー、あらゆる顛末を揺らす揺籠の中なのに、未だに恨んだり、企んだりしながら、萎びた正義を崇めるための、打算的な革命を攪拌するためのミキサーに詰め込まれた未来、攻撃され続ける視野や、苛む記憶をかき写すためのドライブ、輪唱され続けて来たものこそ、嘘ばかりであると、中指を立てては、旋律を咥えたツバメたちが飛び交う午後に住まう憂鬱を破壊するための、ハンマーを持つ私、定義を貪るハイエナたちの轍や、矮星を食べるカバの大きな口、象の鼻に締め上げられた星々、この、境域に住まうドグマを捕まえるための、虫取り網や、トナカイの角にぶら下がるペンダントの数々、実験台として、磔にされた、カエルの裂かれた腹、定義の上を走り去るヴィンテージバイク、原理的な彼女の破傷風、大きなハサミを持った死神が切るモッツァレラチーズ、分散しては、核融合を繰り返す価値観が崩壊したゴーストタウン、リリカルな公園で回る風車や、星屑で出来たスカートを履いた君の量子力学的な抵抗から、数億年が経った頃、毒性の雨が降る故郷を描くゴーギャンや、耽美な街並みで捩れて行く事により生まれたアノミー、単調な季節をグルーミングする猿の群れや、立体感を喪失し、彷徨う泡沫を祝福する鐘の音や、永遠をまさぐる君の手の血管の太さや、君の夢を見た後に広がる豊かさなどなどに入り混じる、定期的な憂鬱をかき消すための、革命を取り仕切る私は、十字を切る人々から逸脱し、この世には、神などは居ないのであるし、居たとしても、無責任で、何に対しても無関心で、ただ、創る事には、長けているだけで、何ら、個人には、影響すらしないものなのかと、ジリジリと照りつける太陽を睨みつけながら、なだらかな主観を撫で、今に反抗し続けて行く。

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