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「シリーズAで6億円の資金調達」をフル活用するためにメディカルフォースが行ったPRのすべて

株式会社メディカルフォースで広報を担当している組田です。

弊社は2022年の8月24日にシリーズAで6億円の資金調達を行いました🎉🎉

当日はプレスリリースの他に各メディアにも取り上げていただきました!

スタートアップ企業にとって資金調達は、採用や認知を広げるための広報を行う最大のチャンスです。今回弊社は採用にフォーカスして調達PRの仕込みを行ったのですが、そのプロセスを大まかな時系列順で残そうと思います。

調達PRでメディカルフォースが考えていたことを知っていただきたく、また今後同様のリリースを考えてらっしゃる方のお役に立てればと思っているので、ぜひ最後までお読みください!

※この記事は、【2022 medicalforce Advent Calendar】3日目の記事です。

1. WHYの設定

なぜ調達時に広報をするのか

調達PRに際して、前提としてこれは何を目的とした広報活動なのかというのを最初に設定しました。

資金調達は最大の広報チャンスであり、かつ多くのステークホルダーが絡む活動でもあるため、WHYをしっかり決めることが重要です。広報活動として適切な相手に最適なアプローチを行い、かつ意思決定で困った時の判断軸とするためです。なんとなく終わらせるにはもったいない。
また、調達PRは広報や経営陣だけでなく少なからず社内全員を巻き込む必要があるので、人を動かせるようなWHYは必要です。

さて目的ですが、それは採用だったり、顧客へのプロダクト認知、協業パートナーへの認知などいろいろあると思います。
今回は採用、その中でも特にビジネスサイドのハイクラス採用にフォーカスすることにしました。随分絞った感はあるのですが、ターゲットが明確であるほどワーディングや見せ方など細かな箇所での意思決定に軸を持てるのでやりやすかったなというのはあります。

「ハイクラス採用」の背景

メディカルフォースは平均年齢が27.5歳(2022/06時点)と全体的に若い会社で、医療系経験者もSaaS経験者もいない中リリースから1年で導入院数100院超まで成長させてきました。

ここからVertical SaaSとして、業界に深く根ざしたプロダクト開発、事業展開をしていき、T2D3を達成していきたいと考えています。
そのためにも事業案を共に練って走らせてくれる経験値のあるビジネスサイドの方に、いち早くジョインして欲しいという思いでいて今回の目的設定に至ったわけです。

今回はハイクラス採用を目的として、一連の広報活動を通じてターゲットとなる層に認知してもらい、スカウトを含む採用活動を通して採用につなげていくことを目指しました。

もちろんエンジニアも募集してます。エンジニアはVertical SaaSやった方がいいです。詳しくはCTOのnoteにて。

2. プレスリリースの構成

さて、調達PRの始まりはプレスリリースです。一連のあらゆる発信のベースがプレスリリースになるので特に力を入れました。
その構成からライティングまで3週間かかっています(後で全体のスケジュールを掲載)。

調達額ではなく市場の面白さを訴求

調達PRなので「○億円調達しました!」がメインコンテンツなわけですが、昨今調達額のインフレが起こっているため、それだけでは埋もれてしまい、採用のための認知という目的を果たすのも難しそうです。なので、異なる軸で差別化する必要がありました。

差別化しやすい軸としては、市場やチーム、カルチャーなどがあると思います。チームだとボードメンバーのキャリアなど、カルチャーだと会社の福利厚生などでしょうか。

今回は世のモメンタムとしても自由診療という市場自体が十分にキャッチーだと考えたので、市場を軸に組み立てていくことにしました。アウトプットにとしてぜひ一番上のプレスリリースをご覧ください!

自由診療のオールインワンSaaS

この調達PRを機に私たちの自己紹介となるタグラインを設定しました。タイトルで出しているものです。

タグラインとは、「その企業のコンセプトや理念を表したり、その企業や製品、サービスがどんな価値を提供しているか」を端的にあらわす言葉です。ユーザーにひとめでわかってもらえる、企業/サービスをあらわす役割を果たしています。

https://kansai.xpd-inc.co.jp/media/archives/686

このようにタグラインは会社やそのサービスにつけるもので、今回は『medicalforce』というサービスに対して「自由診療のオールインワンSaaS」と設定しました。

この表現は小さすぎず大きすぎず、適切なワーディングを心がけました。
弊社は「これからの産業の成長プロセスを合理化する」をビジョンとし、特に今は美容医療という領域にコミットしています。
またその中でも数年以内に美容医療の経済圏を形成するというミッションがあるのですが、現状SaaSの提供に注力している以上、「これからの産業の成長を牽引する」や「美容医療の経済圏をつくる」と表現してしまうと読み手に混乱を招くと考えました。

メディカルフォースのビジョンとミッション

弊社が最初にSaaSを提供している点、オールインワンである必要性、またこれからの展望などを知りたい方はぜひ代表大嶋のnoteをご覧ください。

もっと大きなことを書きたいのは山々ですが、特に今回は採用につながる認知を目的としており、現状と乖離してしまうのは適切ではないです。

また、顧客の多くは美容クリニックですが、美容医療の〜としてしまうと小さく見えてしまうので、あえて自由診療の〜としています。実際、美容クリニック以外の顧客もいて、それらの販路も確立されつつあるので、マーケティング観点からもこのワードチョイスをしています。

以上を経て「自由診療のオールインワンSaaS」というタグラインが決まりました。

キービジュアルは誰に見せたいか

プレスリリースはTwitterやFacebookなどのSNSで拡散することが多いと思います。SNSにおいてサイトのOGP画像はタイトルよりも目を引く情報だと考えると、キービジュアルはタイトル以上にこだわるべきではないでしょうか。

今回は採用ターゲットの目を引くよう、今回のラウンドで出資いただいた株主の方々とボードメンバーという構成で作成しました。

撮影の様子

構成を考えてカメラマンを確保して、全員の予定を合わせてスタジオを借りて、編集をしてとそれなりに時間のかかる作業なので余裕を持って進めるのが良いです。今回は構想から画像にするまで5週間かかっていました。

世のモメンタムと合わさると印象的

市場推しということで、市場の現状と課題、そして将来のあるべき姿について、メディカルフォースが考えていることを余すとこなくさらけ出しました。
特に市場の現状については、コロナ禍における美容医療の普及というトピックを差し込んでいます。世の中の流れに沿ったコンテンツがあると、知らない会社・知らない業界のリリースでも興味を持って読んでもらえそうです。

徐々に電車などで美容施術の広告が増えてきており、近い将来それがヘアカットのように当たり前になっていく中で、その業務を土台から支えている企業というイメージが作られていけばなと思っています。

3. メディアリレーション

調達PRにおいて、プレスリリースに加えて他メディアによるコンテンツがあるのとないのでは、社外からの視点が入るという観点で見え方が大きく異なります。メディアごとに得意とする切り口や読者層は異なるので、いろいろなメディアに取り上げてもらえるよう連携しました。

あとは、1人で広報活動をするなら不要かもしれませんが、ステークホルダーが多くなるので、notionやスプレッドシートなど一括管理できるツールでメディアごとのステータスややりとりを管理すると便利です。

4. コンテンツ作成・導線設計

ここまで準備をして、メディアにうまく取り上げてもらって拡散されたとしても、バズって終わってしまいます。時間をかけて準備してきた目的はバズらせることではなく、採用につなげるためでした。ですので採用につながるようなコンテンツの発信やそこへの導線を事前に準備しておきました。

Wantedlyにコンテンツを配置

弊社であればwantedlyを採用媒体にしており、募集やストーリーといったコンテンツで各ポジションのイメージがつきやすいようにしました。

その他、おそらく最もアクセスされるであろうコーポレートサイトも刷新したり、

より興味を持ってくださった方むけにエントランスブックや採用資料を公開したり、

他にもmeetyのカジュアル面談を公開しており、興味の濃淡によって適切なコンテンツにアクセスできるようにしています。

調達のプレスリリース後も発信を継続

調達PRは、調達のプレスリリース当日で終わりではなく、その後数ヶ月にわたって発信をし続けることで、リリースの効果を最大限引き出せます

この間に出すプレスリリースやメディア露出、ウェビナーや、メンバーのnoteは平時よりも注目を集めやすいですし、またその流れを絶やさないためにも発信を続けることが重要です。

調達PRの第2波3波でまだまだ発信は続けていきます!

5. 社内からの発信

会社をあげた団体戦

調達PRをやっていくには全員を巻き込む必要があり、指針を示して目線を揃えるためにも、なぜやるのか(WHY)を明確にした上で何をどのようにするのか(WHAT / HOW)を逐次共有するようにしました。

社外と同様に社内の情報コントロールも重要です。調達の事実は大概社内に先にオープンされていると思うのですが、調達PRの全体のスケジュールが知らされていないといつ発信していいのかわからず、意図せず先に出てしまったり、拡散のタイミングが遅れて初速が出なかったりといったことが起こりえます。

プレスリリースや他のいくつかのメディア掲載に関して、それぞれタイミングを合わせて全力で拡散してもらうようにあらかじめ周知していました。

アドベントカレンダー企画

先述したとおり調達リリースから始まる調達PRは継続的な発信を伴う必要があります。ということで、現在進行形でアドベントカレンダー企画を実施しています。この記事もその一環(3日目)です。

発信をしたことがないメンバーが大半なので、ポータルサイトにFAQを作るなどして障壁を下げつつ社内全体を巻き込んでいっています。

社内ポータルにおける今回のアドベントカレンダーページ

これ以外にもクリニックの活用事例やアップデート、事業進捗など会社の中身のわかるような発信を継続的に続けていく予定です!

6. 一連の調達PRを振り返って

まだ完了していませんが、今回の調達PRはこのようなタイムスケジュールでした。

調達PRのスケジュール

着想から数えるとおよそ2ヶ月。体感2〜3週間でしたが意外に時間がかかってしまいました。

よかった点は、社内メンバー、ALL STAR SAAS FUNDの方々に多大なご協力をいただき、全員が率先して動いてくださった結果、遅滞なくPR活動が進行していることです(今のところ)。
裏を返せば、個々人によってカバーされていた、全体のスケジュールや情報管理の不備は反省点です。PRの工数を甘くみていました、、😞

今回のPR活動を経て学んだことは

  • 人や自分を動かすWHYの設定せよ

  • PRは団体戦、巻き込むべし

この2つです。調達PRに限らず今後の広報でも活きてくる考え方かなと思っています。


そして、、、調達PRの目的は採用でした。

ここまで興味を持って読んでくださった皆さま、とりあえず一度カジュアル面談しましょう。お待ちしております!

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