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どうする? 「生理休暇取りにくい問題」

キャリアコンサルタントの松岡澄江です。
ここ数年、女性活躍推進の一環として女性従業員を対象にした研修やセミナーでお話する機会が多くなりました。

研修の中で女性のみなさんに「働き続けるうえでの不安は何ですか?」と質問すると、育児と仕事との両立への不安や、そもそもの出産のタイミングに対する悩みなど、女性特有の健康課題やライフイベントが仕事にかかわってくる場面での葛藤を、不安として吐露される方が多いように感じます。

そして、毎月のことなので目立つトピックにはなりにくいのですが、じわじわとストレスになっているのが、月経にまつわるお悩みです。

今回は、女性のはたらきかたに影響する“月経”に関する悩みにフォーカスしてみます。
産業医や保健師による健康相談の場面ではなく、キャリア研修で聞かれる悩みであることに、さまざまな課題が浮き彫りになっているように感じます。

「生理休暇」取っていますか?

「(使用者は)生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」

労働基準法第68条

これは、労働基準法にしっかりと明記されている文面です。
仮に“生理休暇”の項目が就業規則にない会社でも、女性従業員が生理休暇を請求した場合、取得の拒否はできないことになっています。

つまり、生理休暇ははたらく女性の“権利”なんですね。

ところが、厚生労働省の「雇用均等基本調査」(令和2年)では、生理休暇を請求したことがある女性は、わずか0.9%しかいないことが明らかになっています。
0.9%ということは、はたらく全女性の1%に届いていないということです。
企業人事の方にとっては、なかなか衝撃的な数字ではないでしょうか。

“生理休暇”は制度としてはあるけれど、実際には何らかの理由で「存在さえ忘れられている or ないものとみなされている」休暇なのだと予測できます。

圧倒的な使いにくさが1%の未満の取得率に

では、私が実際に担当している研修で、女性からあがってきた声を紹介してみましょう。

「生理であることがわかってしまうのが恥ずかしいから、生理休暇ではなく有給休暇を使っている

男性上司には言いにくい。結婚している男性上司なら、生理への理解がありそうでまだいいのですが…」

「 “生理休暇”の申請書類が係長→課長→部長と部署中に回されるのかと思うと、取得する気も失せる」

「生理休暇という名称がそもそもイヤ

「毎月取得すると、さぼっていると思われそう」

「先輩の女性から『生理は病気じゃないんだから』と言われてしまい、生理休暇が取りにくくなった」

どうですか、みなさん。生理がつらくても、我慢してはたらいている女性の姿が浮き彫りになっていますね。
こうした声を聞いていると、生理休暇の取得率が低い理由もうなずけます。生理休暇は「不要」なのではなく、「とにかく取得しにくい休暇」なのだということがわかりますよね。

※なお、生理休暇は労働者の権利ですが、取得日数や有給か無給かの定めは法律上ありません。詳細は、所属する組織の就業規則をご確認ください。

生理は「恥ずかしい」という概念から抜け出そう

「生理」は『生きる理(ことわり)』と書きます。
つまり、お腹がすいたとか、夜になると眠いといった『生きるための道理』と同義のこと。女性のからだに当然ある機能としてそなわっているのが“月経”です。

みなさんは、眠くなることは恥ずかしいですか? 
お腹がすいたことを絶対に他人に知られたくないですか?

多くの人はそんなことはないはずです。
眠気に襲われたらちょっと休もうかなと思うし、おなかがすいたら、むしろ気のおけない仲間と一緒に「お昼ごはん何食べようか?」と、楽しく相談をしたりすると思います。

「生理ってそれとあまり変わらない」と考えるとどうでしょう?
恥ずかしい、知られたくないという気持ちが少しは和らぎませんか?

かつて日本では、女性の経血を忌み嫌う地域もあったそうです。地域や家庭環境によっては、「女性が生理の話をするのはタブー」という価値観を強く刷り込まれて育った方もいるかもしれません。
しかしいま、私たちが生きている社会では、男性と同じように女性がはたらくことが当たり前になりました。昔の価値観のままでは、うまくいかないことが増えてくると思います。

【関連記事】生理のこと、上司や同僚に伝えづらい?明日から使えるコミュニケーション術、プロが教えます

▲ 松岡とmezame公式note編集長の阿部が取材を受けたIndeedさんの記事です

ヘルスリテラシーを高めて上手に自己開示できる人に

そもそも多くの男性は、これまでの上記のような理由によって、女性の生理がどういうものなのかを知らない方が圧倒的です。既婚者やパートナーと同居している男性なら理解があるかというと、そんなこともないようです。

知らないのですから、生理痛のツラさも経血の不快感も理解できない。

わからない男性と隠したい女性。その間で意思疎通ができない構図がずっと続いているのだと思います。

しかし、月経は毎月訪れることですから、毎回月経痛がツラい人は、仕事への影響がひんぱんにあらわれる人です。であれば、

① どんな症状があるのか
② どのくらいで回復するのか
③ 回復のために何が必要なのか
④ その間、仕事をどう調整するのか

…といったことを上司やチームメンバーに伝えて期待値を共有することは、女性というより、一人のビジネスパーソンとして必須のことのようにも思えます。

自分のからだのリズム(月経周期やどのタイミングでどんな不調が起こるのか)をしっかりと把握し、少しでも症状を軽くするためのケア(食事や睡眠、身体を温める等)にも取り組めば、きちんと周囲にも伝えられるし、「さぼっている」と思われる心配をする必要もなくなるでしょう。

「同僚や上司に理解してもらえない」と嘆く前に、理解してもらえる説明ができる自分になることを考えてみませんか?

ツラい症状が続く人はもちろん婦人科へ

これからの時代、まずは女性自身が「恥ずかしい」という気持ちを乗り越え、上司や男性の同僚にも“生理”を伝えられる知識(ヘルスリテラシー)を持ちましょう。

もちろん、毎月休まなければならないほど生理痛やPMSがツラい人は、婦人科の受診が先決です。

我慢できない痛みには、何らかの病気が隠れている可能性もあります。症状には個人差もあるので、「この程度ならたいしたことはない」という自己判断が、重篤な病気を見逃す結果にもつながりかねません。
生理休暇の取得に診断書は必要ありませんが、医師の見解があれば、職場や上司に伝えやすくなる側面もあるでしょう。

健康知識を得てヘルスリテラシーを高め、自分の健康をマネジメントできるようになること。そして、一緒にはたらく仲間に対して必要な情報を自己開示し、適切なタイミングで相談できるスキルを持つことが、これからの時代、とくに求められるようになると思います。

「生理は恥ずかしい」という言葉が無くなる世の中が早く来ますように。

そのためにも、私たちmezameは「はたらく女性の健康とキャリア」を伝え続けようと思います。

■ 文/松岡澄江(まつおか・すみえ)
国家資格キャリアコンサルタント、研修講師

“mezame”は健康とキャリアの両輪で
はたらく女性を支えるプログラムです

さんぎょうい株式会社が提供する“mezame”は、産業保健師と国家資格キャリアコンサルタントがタッグを組み、

*女性の健康知識とキャリアプランニングの基礎研修
*ライフステージ別・職級別のオーダーメイド研修
*従業員個別のキャリア面談によるモチベーションアップ

をおこなうキャリアサポートプログラムです。
女性特有の周期的なからだの変化、年代やライフステージごとに変わっていく役割、体調、かかりやすい病気…。

ウィメンズ・ヘルスをふまえて“はたらく”を考えれば、女性従業員のパフォーマンスは今以上に向上し、女性自身もなりたい自分、叶えたい人生に近づくことができます。

女性活躍推進や健康経営施策としても最適なmezame。
経営者、人事・HRご担当のみなさん、ぜひ導入をご検討ください。

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