男性が「生理」を正しく理解するということ【前編】
こんにちは。
キャリアコンサルタントの東 公成です。
今回から2回にわけて、男性が女性の「生理」を理解することが職場にどんなプラスをもたらすかを考えていきます。
【前編】 生理が女性のメンタルにもたらすこととは?
【後編】 男性が生理を理解することがもたらす価値は?
ある企業で行われた「生理研修」から考えたこと
少し前の話ですが、1月22日の 朝日新聞〈朝刊〉に生理用品を扱うユニチャームが行った、企業向け「生理研修」に関する記事が掲載されていました。
その記事の中にこんなくだりがありました。
同社が昨年4月にネット調査 (20~49歳の男女2千人が回答)をしたところ、生理について「男性に理解して欲しい」と答えた女性は80%だった一方、「理解している」と答えた男性は46%。
こうした状況などを受け、昨年から企業向けの生理研修を始めた。研修の主催者は「研修をきっかけに、つらそうなときに『無理をしないでね』と声がかけられるような職場環境になれば」と期待している。
世の中が良い方向へと向かっていることを強く感じると同時に、2つの疑問が湧いてきました。
① 生理について「男性に理解して欲しい」と答えた80%の女性は、男性に何をどんなふうに理解して欲しいのだろうか?
② 「つらそうなときに『無理をしないでね』と声がかけられるような職場環境」を、女性は本当に望んでいるのだろうか?
女性の健康とキャリアをサポートする“mezame”事業にかかわっている立場としては、男性が女性の生理について理解をすることはとても良いことだと考えます。
共に働く同僚とより良い関係を構築していくためには、相手のことを理解することはとても大切なことです。
ただ、「理解をした」といっても、それをどのようなかたちで行動にあらわすのかは、さらによく考える必要があるのではないでしょうか?
そこで、上記の2つの疑問について、一緒に仕事をしているmezameのメンバー(男性1名、女性3名)に率直にきいてみることにしました。
生理のとき、男性にしてほしくないことは?
こちらはお腹が痛いんだから、(普段と同じように)何でもかんでもリクエストしないで欲しい。〈家族全員に対して〉
「生理が大変なことは理解しているからね」という態度を見せるだけで、実際にサポートする行動は何もしないのが不愉快。「大変だよねぇ」と言うだけで、ありがたがられると思わないでほしい。〈パートナーに対して〉
まず最初に出てきたのは、日々の暮らしを共にする家族やパートナーに対する意見。
さまざまな意見が飛び交うなか、“男性にしてほしくないこと職場編”が出ていなかったことに気づいたので、そのことについても質問してみました。
男性にしてほしくないこと【職場編】
返ってきた答えは、まさに男性が知らない・気づかない“生理中の女性のリアル”とも呼べるものでした。
生理中に使用するナプキンは「1日1枚程度」と思っている男性がいらっしゃるようですが、多い日は1時間おきに交換しても追いつかない女性もいます。そんな時に、休憩なしで長時間の会議をされたらどうなると思います?
夏場はどうしてもナプキンが蒸れるので、その不快感だけで結構パフォーマンスは落ちていると思います。
ナプキンが蒸れる!
男性の私でも、その不快感を想像するだけで身震いします。
生理用ナプキンのテレビCMが、「安心」「漏れない」「サラサラ」をアピールする理由が、このコメントから理解できました。
ほかにも、
女性がちょっとイライラしたり怒ったりしたときに、男性同士で「あの日だよ、あの日!」とか「更年期じゃね?」と、聞こえるか聞こえないかのような声で揶揄することはやめて欲しい。生理や更年期に対してネガティブな感情を抱く人が増えてしまいます。
というご意見もありました。
生理中でも“プロの矜持”は忘れない
30年間サラリーマンをやってきましたが、一緒に働く女性からこんな声を聞いたことはありませんでした。そのことをmezameの女性メンバーに伝えると、こんな意見もいただきました。
生理で体調が良くなくても、職場ではパフォーマンスを落とさないように意識してふるまっている。プロとしてそういう不快感は口に出しません。
「プロフェッショナルとして、自分のその時の体調のなかでベストを尽くす」「体調管理に責任を持つ」という言葉にハッとしました。
さて、体調の自己管理という話題が出てきました。
生理のような女性特有の体調の変化は、女性自身がしっかりとケアをおこなってもどうしようもない場合もあるそうです。
ただ、女性の健康の専門家は「それでも日々のケアで不調をやわらげることができるケースもある」と話します。
そこで次回は、mezameで女性の健康知識のセミナーを担当している、産業保健師の小林智美さんからのアドバイスをうかがいます。
これまで小林さんのもとに寄せられたさまざまな女性の声は、男性が女性の“生理”を理解することが、さなざまな価値をもたらすことに気づかせてくれました。
■ 文/東 公成(あずま・きみなり)
国家資格キャリアコンサルタント、DiSC認定トレーナー、プレゼンテーショントレーナー、女性の健康経営アドバイザー
“mezame”は、
はたらく女性の健康とキャリアを
サポートするプログラムです
さんぎょうい株式会社が提供する“mezame(めざめ)”は、産業保健師と国家資格キャリアコンサルタントがタッグを組み、
*健康知識とキャリアプランニングの基礎研修
*個別のキャリア面談によるモチベーションアップ
*ライフステージ別・職級別の健康とキャリアを考えるセミナー等
をおこなう支援プログラムです。
女性特有の周期的なカラダの変化、年代やライフステージごとに変わって行く役割、体調、かかりやすい病気…。ウィメンズ・ヘルスをふまえて“はたらく”を考えれば、女性従業員のパフォーマンスは今以上に向上し、女性自身もなりたい自分、叶えたい人生に近づくことができます。
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