「僕は元気だよ」って伝えることが、唯一のモチベーションなのだ。
人と比べ、自己承認欲求が特段高い訳ではない。どちらかと言えば、むしろ低いほうだと思う。
SNSなんて何を投稿すればいいのかわからず、長続きした試しがない。mixi・Facebook・Instagram・X…。そのどれもが、ほとんど見る専になり、放置してしまっている。
一方で、“ある程度世間に認知されたい”という願望があるのも事実。それは別に、「有名になってお金持ちになりたい」だとか「異性からモテモテになりたい」といった理由からではない。
僕らが高校生だったアノコロ、もろもろの事情が重なり、付き合うことなくハナレバナレになったあの子に、「僕は元気でやってるよ」って伝えたいだけ。
16年の月日がたつなかで連絡先は消えてしまった。それに、共通の知人なんて誰一人としていないから、連絡先を入手する術もない。もちろん、どこで何をしているのかすら判然としない。
となると、残る方法はただひとつ。それが“僕の名前と顔がある程度知れ渡ること”なんじゃないかって。僕の名前はそこらへんにゴロゴロと転がっているありふれたモノだから、顔もセットにしないとね。
そんでもって、彼女がちょっとでも触れそうな情報を発信する必要がある。まったく食指が動かない情報だと意味がないもんね。
って考えたら、やっぱり2人の共通点である“由利本荘”なんだよね。お互いが青春時代を謳歌した(はず)の場所だしさ。
彼女が今、どこでどんな生活をしているのかはわからない。それに、かつて住んでいた場所の情報を調べるかなんて未知数だ。ただ、できるだけやってみたいよね。
いつかさ、「僕は元気だよ」って伝わればそれでいいや。