ソーシャルゲームの運営とその闇 #1
私自身、ソーシャルゲームの運営に深く携わっておりました。現在は該当ゲームに関してはサービス終了しておりますが、当時は無名の会社としては異例なほど売上を上げておりました。
コンプガチャ禁止のお触れ
当時サービス開始したゲームは他ゲームに似たジャンルがなくおかげ様で大ヒットしておりました。正直な話、ゲーム内の強さを少し変えるだけ(数値を多少いじるのみ)のガチャ更新で何百万と売上を上げておりました。
私のゲームは良心的な方で、他ゲームではもっとえげつないことが当たり前のように行われておりました。確率改変など平気でやってる会社もあったのではないでしょうか(私のゲームでは一度もありません!)
そこで一つ問題が発生します。それがコンプガチャ問題です。ゲーム内でとても有効なアイテム(激レアアイテムと呼称します)を手に入れるためにガチャで手に入るアイテム数種類(パーツアイテムと呼称します)を揃える必要があるといったものです。もっと複雑ですが、ここでは簡素に済ませます。
つまり、ガチャを実行することで手に入るのはパーツアイテムであり、本来売りにしている激レアアイテムをガチャの実行から直接手に入るものではないということです。
今までは激レアアイテムをコンプリートさせることでゲーム内の価値を高め、とても貴重なものとし、所持者は優越感を得ることが出来るよう設計していたのです。
その時何が話されたか
各社対応に追われました。例えばですが今までパーツアイテムを10%で排出、それを5種類集める必要があったとします。すると激レアアイテムは最低の5回引いただけで当てる確率は0.001%で手に入ることになると思います(計算合ってるかな…)
ここで大事なのはパーツアイテム自体は10%なので当たりやすいという事実です。パーツアイテム自体には価値が低く、当たってしまえば揃えたいという欲求が生まれます。ただし、パーツアイテムは重複して当たったりしますし、揃えるためには多額の課金が必要でしょう。
なまじパーツアイテムが出やすいので、次で揃うだろうという期待が課金を促進させます。そして後戻りが出来なくなり、重課金へと繋がるのです。
なので激レアアイテムはゲーム内で非常に価値の高いものと設計されていました。持ってるだけで自慢できるようなものと。
これがコンプガチャが禁止になったせいで、ガチャから確実に排出されるべきものとされ、確率表記を義務付けられました(何度も言いますが私のゲームは確率改変はしていません!)
つまり以前のような価値の高さを与えにくくなったのです。そして激レアアイテムの引きが弱くなることによって売上は当然落ちることになります。
各社対応として激レアアイテムにおまけを付けたり、リアルガチャと呼ばれる実際に100個あるガチャ内容からガチャを引き、100回引けば確実に全ての排出パターンを得られるといったものです。各社尽力を尽くしましたが、売上は目に見えて落ちていきました。当時、この流れでサービス終了するゲームも数多くあったと記憶しています。
それだけえげつないやり方に頼っていた証拠でもありますが…私のゲームにおいてはそういったやり方に頼り切ったゲーム内容ではありませんでしたので、問題なく運営を続けられました。
収益の要
結局、収益の要となるのはガチャによる激レアアイテムの存在とそれがもたらす優越感、そして時短アイテムとなります。ゲームにかける時間がない人に向けた時間をお金で買うアイテムです。スタミナを回復したり、コンティニュー権利ですね。
ただ、大事な事が一つあります。それはゲーム自体の面白さです。優越感を得るためには、それを羨む他ユーザが必要ですし、何としてもクリアしたいと思わせるゲームステージ設計である必要があります。
私自身、ゲームが大好きです。コンプガチャ問題などでゲームの印象が悪くなるのは不本意であると考えています。私は本当に面白いと思ってもらえるようなゲーム開発をこれからも続けたいと思っています。そのゲームを盛り上げたり、円滑にするためにゲーム内アイテムを販売するのは当然と思っています(ボランティアではないので売上は必要ですしね…)
ただ、ゲームとは呼べないような代物が蔓延しているのも事実です。次回以降でソーシャルゲームにおける売上とは?運営とは?私が運営(理想)としていたゲームとは異なる他会社の現状などについてお話したいと思います。