見出し画像

ソーシャルゲームの運営とその闇 #7

前回の記事はこちら

どうしてインフレが起きてしまうのかについて簡単に説明させて頂きました。ただ、問題は他にもあります。それも根本的なものです。

根本的な問題とは

ゲーム設計者と運営者が異なる、という事です。

ゲーム設計時にこのスキルは希少価値の高いスキルとして実装していることが多々あります。これは数値が〜とか隠し数値が実装してあって〜とかそういったものではなく、ゲーム設計者の頭の中だけにある希少価値です。

例えばですが、スキル発動時に攻撃すると数フレームだけ敵をスタン出来るといったものが、それに当たるとします。ゲーム設計者はこれ自体はそこまでレア度の高いスキルとは考えず、このキャラを入れると安定する。ただし、最適解ではない、といった位置付けという思想で設計したとします。

実際に運営が始まりました。ゲーム設計者の予想通り(最初に試行錯誤繰り返しているので当然ですが)、ユーザはそのキャラを多く採用していました。ランクの高いトップユーザはそのキャラではなく、最適解を求め、別のキャラを採用するといったピラミッドの完成です。

ゲーム設計者はこのピラミッドは予想通りであり、これを予知して今後のなんとなくのアップデートを考えていたはずです。ただし、これは数値に出来るものではなく、頭の中にだけある設計図です。

ゲームの初動が上手くいったとします。ゲーム設計者はその才能を買われ、別ゲームの設計に入りました。そのゲームは別の運営者に引き継がれます。

設計者から運営者へ

引き継がれた運営者はピラミッド化されたユーザの特性を図ります。当然、数値からです。そこで愚かな判断が下されます。ピラミッドの中間のユーザが最も多く採用しているこのキャラ、スキルを強化したものをガチャで出せば売上が上がるのでは?=自分の会社内での評価も上がるのでは?と考えるのです。自分が運営者として力があると認められたい気持ちは理解出来ますが、設計時点ではやってはいけないアップデートだったのです。

これによって設計時点で崩れてはいけないゲームバランスが見えない、知らない内に崩れたのです。

これを補うために他の部分を次ガチャで強化、あちらを立てればこちらが立たずで次ガチャで強化、そんな流れでインフレに繋がるのです。

何よりも残念な事…

インフレに繋がる設計者と運営者の思想の違いについて説明しましたが、何よりも残念な事は当事者がこれに気付いていないことなのです。運営者は売上を上げること、全体のバランスを取り戻すことに必死で、大本の問題に気付くはずがないのです。

気付いた時には後の祭りで、取り返しがつきません。ほとんどのゲームが気付く事もなくサービス終了なのですが…

どうすれば防げるのか?

これは非常に難しい問題です。というかゲーム設計時にそこまで想定して設計するのは、ほぼ無理です(私は出来るで、という方がいるならお話聞きたいくらいです…)

ただ、発生する可能性をある程度低くすることは可能です。その方法は二つあります。

ここから先は

852字

¥ 100

期間限定!PayPayで支払うと抽選でお得

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?