
KPIマネジメントの基礎
新任リーダーに伝える機会があったので、自分の中での考えを改めて言語化してみました。
KGIとKPI
KGI Key Goal Indicator
組織の最終目標を定量的に表した指標
KPI Key Process/Peformance IndicatorKGIを達成するための各プロセスがクリアできているかを定量的に評価するための指標
営業であれば、
受注〇件(KGI)を達成するには、アポ数〇件(KPI)が必要
といったイメージです。
どちらも「定量的」という言葉が入っており、「イケている営業組織になる」のような状態目標のままだと、KPIマネジメントは使えません。
(「イケている営業組織」→社内で常にトップの成績を収めている→年間で〇件受注できている…のように数値目標に落とし込むことができていれば別です。)
慣れないうちは、
KPI(アポ数)は未達だったが、KGI(受注数)は達成できた
KPI(アポ数)は余裕で達成したのに、KGI(受注数)は届かなかった
といったケースに遭遇し、KPIを設定すること自体に難しさを感じることもあるかと思います。
KPI設定のためには、プロセスの分解が必要
問い合わせ流入 〇件
↓ アポ率 〇%
アポ獲得 〇件
↓ 見込化率 〇%
見込化 〇件
↓ 見込からの受注率 〇%
受注 〇件 ⇒ KGI
営業プロセスを簡易に分解すると、上記のようになります。
目標管理面談等のタイミングで成功要因・失敗要因の後付けとしてプロセスごとの数値を出すのではなく、最初からきちんとプロセスを分解し、各プロセスでの指標を設定しておくことが大切です。
ここでの「各プロセスでの指標」=KPIではありません。
私は、複数の指標をKPIとして設定するのではなく、最終目標であるKGIまでのプロセスを分解し、その中の1つだけをKPIに設定することをおススメしています。
CSFを定量化したものがKPI
CSF Critical Success Factor (重要成功要因)
・ 問い合わせは、毎月安定して30件来ている。
・ 営業体制の標準化もできており、商談からの受注率は
20%を実現できている。
・ ただ、アポ取得が苦戦しており、昨期同取り組みを行った際の
アポ率10%に対して、現状は5%しか実現できていない。
・ 昨期のアポ率が実現できれば、今期の目標達成が可能。 ← CSF
プロセスを分解して出てきた要素の中で、どこが上手くいけば最終目標であるKGIを達成できるのかを考えます。
そこで抽出した中で最重要なものを定量化したものが、KPIです。
ここで大切なのは、アポ”率”ではなく、アポ"数"をKPIに設定することです。
KPIに〇〇"率"を設定しない
KPIは、自分がコントロールでき、最終目標最大化に向けた行動に反映できるものを設定します。
分母分子が絡むパーセンテージは一方の数字の増減に影響されるため、アポ"率"よりも、アポ”数”の方がKPIとしては適しています。
アポ"率"のようなパーセンテージををKPIに設定すると、極端な例では
アポ率を好調でキープするために、問い合わせ対応しない。
(最終目標最大化に向かっていない)
といったことも起こり得ます。
KPIに設定するのは、1つだけ
「『問い合わせ数』も『アポ数』も『見込数』も全て重要指標として管理しています!」というのは、KPIマネジメントではなく、ただの数値管理です。
(数値管理が悪い…という意味ではなく、KPIマネジメントとは区別されるものだと思っています。)
数値管理しないわけではありません。
KPIが適切だったかの検証が必要なので、KPIとして設定した指標以外も分解したプロセス上にあるものは、全て把握します。
時には、「KPIに設定していたアポ数はクリアできたのに、リモートワークの影響で顧客の優先順位が下がることが多く、見込数が足りなくなり、最終目標である受注数の達成が怪しくなってきた」のようなケースもあります。
そういった外部要因が絡んできた際に、
・ KPIとして設定していた指標自体を変えるのか?
・ KPIの数値を上下させるのか?
の判断が必要です。
・ アポ数をさらに増やす施策を打つのか
・ 見込化を促進するための施策を打つのか
・ 見込化する数を増やすのは現状難しいと判断して、
大元の問い合わせ数を増やす施策を打つのか……
どこをボトルネックとして判断するかによって、対応施策も違います。
コントロールする難易度も、検証する際の難易度も格段に上がるので、プロセス上の数値の中で、KPIに設定するのは1つだけに絞るのがおススメです。
また、ボトルネックに当たる部分は、環境や取り組み熟練度によって変化していくことも意識しておくと良いと思います。
KPIマネジメントの最大の敵は、「行動しなかった」
実際にチーム運営をしていると、複数の指標をメンバーに追ってもらうのは難しい…と感じると思います。
・ チームとして設定したKPIに納得感がなく、
中途半端な行動しかできていない。
・ 行動目標が未達成で、KPIが適切だったかの判断ができない。
のは、非常にもったいないです。
KPIマネジメントは、最終目標であるKGI達成のための手段です。
最終目標までのプロセスが長かったり、最終目標がストレッチした内容だったりすると
・ 今、最終目標に向かってどれくらいまで進捗しているのか
・ このまま進んでいけば、最終目標達成できるのか
を不安に思うこともあるはずです。
そんな時の道標になるのが、KPIマネジメントだと私は思っています。
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