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meria 二章

8
角の生えた人間の暮らす異世界に飛ばされた少女は…
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meria 二章 - 8

愛菜の目覚めは良いものではなかった。
うっすら開いた目に映った翡翠のような色を見てエクセルの名前を呼んだ。その後は乾いた音がしてからジワジワと顔の左側が痛くなり、ようやく意識がはっきりした。
目の前にいたのはエクセルではない知らない青年ともう一人、男が立っていた。女の子の顔になんて事をしているんだと悲鳴のような声を上げる男とは対照的に、目の前の青年の表情は冷たい。切れ長の鋭い目が印象的な美しい顔立

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meria 二章 - 7

夢を見ていた。

「あれ……ココどこ」

気がついた愛菜は麦畑の真ん中にいた。真上には雲一つ無い青空。静かに風が背後から走り抜けて足元の麦たちを揺らして立ち去って行く。
前にもどこかで似たような景色を見た気がするのだが、どうしても思い出せ無い。
しばらく景色を眺めて気付いたのは遠くに大きな樹が立っていて、そこはなんだか行ってはいけないような気がして自分が来た道を戻るよう振り返ろうとした。
すると急

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meria 二章 - 6

昨晩のアードルフの騒動に今朝の料理大量注文等など、宿には本当に騒がしくしてしまって申し訳ない。何度も何度も頭を下げるエクセルの背中をぼぅっとした顔で見ていた愛菜に横から気になるのかと声を掛けられる。
振り向くとソファの隣に座っていたエステルがにこにこした顔で何度も「気になる?気になる?」となんだか嬉しそうに聞いてくる。興奮した様子のエステルに引き気味で肯定とも否定とも取れない声を返した。

「エス

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meria 二章 - 5

「そこの男、止まれ」

真っ赤な衛兵服に目隠しをした男が、闇市という地域へ向かう裏路地に入ろうとする者を制止した。
止められた者が何も言わず立ち止まり、男の方へ向き直る。真っ白い布地に金色の装飾が描かれたローブを目深く被っていて顔はおろか性別すらも分からない出で立ちだ。しかし、衛兵の男は迷わずそのローブ姿の者を「男」と呼んだ。
呼び止められても一切喋ろうとはせず、ローブの男は両手を顔の前に組み、祈

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meria 二章 - 4

目を覚ますと悪魔のような角を生やした男が隣で寝ていた。
驚きのあまり身体が上に向かってびくんと跳ね上がり、勢いを付けて頭上にあるベッドの飾り板に激突する。

「いったい」

頭を抑えて悶える愛菜の声に男はびくともせず、唸りながら寝返りを打ちうつ伏せになって寝息を立てている。愛菜は男の様子を恐る恐る覗き込みながら、これまた恐る恐る肩を叩いて男を起こそうとした。
一瞬、名前を忘れそうになる。昨日であっ

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meria 二章 - 3

夢を見ていた。
愛菜は乗り遅れそうだったバスに無事に乗り込み、毎日通う通学路の坂道をぎゅうぎゅうの車内から眺めていた。いつも通り坂の上にある学校に付くと飛ぶようにバスを降りて教室へ向かう。
黙々と授業を受け、昼前の移動教室。授業の行う教室へ向かい、隣の教室の友人たちと移動を開始するが友人達とはなんだか距離を感じる。
前を歩いていた友人の二人が愛菜の顔をちらり見るも、何も言わず歩き続ける。隣の友人も

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meria 二章 - 2

「エステル……」

寝台の上で寝息を立てる少女を側で見守っていた愛菜は次第に良くなっていく彼女の顔色を見てホッとした声でよかったと声を漏らす。
先ほど検問所で飲ませた薬が効いているのだろうと様子を見に来たエクセルが言う。隣で手持ちの薬草や薬品を乳鉢ですり潰している光景を暫く見つめた後、次第に出来上がっていく奇妙な色をした液体を指して不味そうと感想を述べた。
素直すぎる感想に困るどころか何やら楽しそ

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meria 二章 - 1

自分を呼ぶ声で不思議な夢から目を覚ました愛菜。
いつの間にか眠っていたことに気が付き、重たい両目をこする。
無理やり起こした事を詫びるエクセルの声で呼ばれていたのは夢ではなくて現実だったのかと納得する。

「君に真面目な話があるのだが、良いかね」
「真面目な話?」

目下どうにかしなければいけない問題。今後、身元を証明できない愛菜をどうやって次の市街地へ連れていくか。
もうすぐ一晩泊まる予定の港街

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