欲しい物を欲しいと言う時声が出なかった。
「大切な人を連れて行ってもいい?」と言われて二つ返事で了承した。
その日から二泊ほど、離婚したばかりの私が構えた3LDKの立派すぎる新居に、美和ちゃんが泊まりで遊びに来る予定だった。その美和ちゃんが、「彼氏ではないが」と前置きしたうえで、大切な人を一緒に連れていってもいいか、という。私は心から歓迎した。初めて会う男性を家に二泊もさせて大丈夫なのかどうか、平時の自分だったら真っ先に心配したに違いないが、不思議とその時、その男性がどんな人か、という懸念はなぜか心に浮かんでこなか