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B6サイズ小説同人誌を作ったメモ【1段&2段】

※この記事では女性向け二次創作小説の同人誌を取り上げています。
原作キャラクターと創作キャラクターが掛け算されてるタイプの本文画像があります。内容はすべて個人の幻覚です。

個人的なメモに近い短めの記事です。こういうのもあるんだな~と気楽に読んでください。
印刷所えらびや本作りの細かい部分はご自身の判断でお願いします。
筆者の使っているソフトは主に一太郎(及びJUST PDF4 or 5)とPhotoshop・クリスタ・まれにGIMPなどです。参考までに。
この2月に一太郎2025を導入しまして、上位版に付属するJUST PDFも6になりました。未だに閲覧やチェック作業には4を使い続けているので、どんな変化があるのか探してみるのもいいですね。


B6で作ろうと思った理由

使いたい特殊紙でやりたい装丁があったからです。あ、安直~~~。
本作る系オタクの常で印刷所の新情報をチェックするわけですよ。
BRO'Sさんがオンデマンド追加印刷に対応するというではありませんか。金銀ホワイト蛍光ピンクが使えるぞ!(2023年2月頃)

月日は流れその後……濃色のミランダ(黒・藍・深紅)が表紙に使える…だと!?(2024年春ごろ?たぶん…参考にポストを引用しておきますが常時見ていたわけではないのであやふやです)

使えるのは170kg台の用紙。よく見かける標準的な連量。B5~A5なら迷わずいけるけど文庫にはちょっと躊躇う感じの厚みでもある。だが厚めの紙もB6くらいの判型なら開きづらくないのでは?
B6は青年コミックやライトノベル・ライト文芸でよく見かけるサイズですね。四六判に近く一般の書籍(単行本)の組み方も参考にしやすい。文庫より版面が広く、1段も2段も組めて便利なイメージ。
折しも次はこんな内容の本になるかなと予定を組みつつ似合いそうな装丁を模索していた時期。そこへ「こんなのできますよ」と飛び込んでくる紙とインクの選択肢。
じゃあやってみよう! と思い立って諸々のことが決まっていきました。

①164p/1段

本文
ミランダ深紅に金インクかわええやんと言いたいだけの画像①
ミランダ深紅に金インクかわええやんと言いたいだけの画像②
スピンつけても美しいブロスさんの角ピシ
文庫サイズとの比較

印刷所:BRO'S(ブロス)
サイズ:B6/ページ数:164ページ
表紙用紙:ミランダ 深紅 170Kg
表紙印刷:モノクロ→金【OD】に置き換え
本文用紙:美弾紙ノヴェルズ 63kg
加工:スピン製本(金茶)
遊び紙(前後):新星物語 クロウ 110kg
文字組:9.5pt・43文字×17行
余白:天21mm・地16mm・小口13mm・ノド23mm・柱 上端12mm
本文使用フォント:夜永オールド明朝 Regular

バレンタイン時期にかぶるため…というわけでもないのですが、お茶やお菓子が出てくる話が多めで、どうせならかわいいお菓子箱やカンカンみたいなイメージの本=地に色のある表紙用紙と、金銀白黒などそれに印刷可能なインクにしたかったんですね。
なおかつB6だと大きすぎず小さすぎず、そこはかとなくギフト感が出るかなと考えました。
遊び紙は非在庫紙リストから取り寄せて挟み込みをしてもらいました。これもお菓子缶のクッションペーパーのちょっといいやつみたいなイメージ。

短編集でページ数もほどほどにあったので、読み具合に合わせて好きなとこに挟んでほしくてスピンもつけたかった。クッキーとかチョコレートのアソート缶を開けて食べて蓋閉めてまた後で食べて…的な。
金茶は前も使ったことがありますが上品な色味で好きです。昨年ガルシア=マルケスの『百年の孤独』文庫版(新潮文庫)で金スピンが話題になったのを思い出します。実物があるので見比べてみましたが、ほぼ同じ色味かもしれません。

表紙はモノクロを金に置き換えなのでテンプレートを使用し600dpiモノクロ原稿で提出。背幅が切り上げにも切り下げにも微妙なラインでしたが、遊び紙等考慮して切り上げ整数で処理。特段の理由がなければだいたいの場合切り上げると安全だと思います。
誤差込みで背幅を出してくれる印刷所(プリントオンさんとか)はぴったりの数値に従いましょう。

本文はフォントやや大きめ&ゆったりめの組み。
版面が広いとその分だけ文字を詰め込みたくなるのがページ数を節約したい字書きのサガですが、あまり詰め込みすぎると圧迫感のある印象になってしまうので余白を意識しました。短編集なのでストレスなくサラッと読めるつくりにしたかったんですね。
参考資料は一般の四六判書籍や手持ちの同人誌など。フォントサイズを上げたら行間も上げると読みやすく仕上がりますね。

本という「物体」としての開きやすさ・めくりやすさはとてもよかったです。あと軽い。美弾紙ノヴェルズにしてよかった。ノドを広めに取ったので弱い力でも可読範囲まで開きやすいというのもあるかも。
前回BRO'Sさんで本文に筑紫Aオールド明朝 L(9pt)を使った際はけっこう細った(けど読める)のですが、今回は若干大きめなのと使用フォントを変えたこともあってか掠れ感などはありませんでした。5pt程度のルビもちゃんと出てます。

②36p/2段

本文
特殊嗜好なので告知時など注意喚起を行った上で裏表紙にも注意書きを載せていた

印刷所:ちょ古っ都製本工房
サイズ:B6/ページ数:36ページ
表紙用紙:五感紙粗目 純白キラ 135Kg
本文用紙:ラフクリーム琥珀 71.5kg
遊び紙(前のみ):タント70k I-50 (蛍光ピンク)
文字組:9pt・22文字×18行×2段
余白:天18mm・地14mm・小口13mm・ノド23mm・柱 上端9mm
  ・段間10mm
本文使用フォント:夜永オールド明朝 Regular

①に少数つけた無配本です。
いい感じにペラくて無配らしさがある。でも36pは結構多いな……。
セット組の都合上判型を同じにしたかったので新刊本体と同じB6サイズで発注。
また無配のためページ数を節約したかった&特殊嗜好すけべなのでフォントサイズでかくしたくなかった(でかいとなんかオモロくなってしまいそう…?)ので2段です。
とはいえ9ptあるから小さいというほどではないんですが。

……のはずでしたが、1pに入る文字数は実はあまり変わらなかったです。
(43字×17行=731文字/22字×18行×2段=792文字)
わずか61文字の違い。天地の余白や段間を狭めて一行文字数を増やす、小口とノドの数値を調整し行を増やす等、もっと改善の余地がありそうです。
いろいろいじってみて一太郎上でいい感じに字間ゼロのベタ組ができたのがこの組版で、可読性の面でも失敗というわけではないのですが、この記事を書く前に再調整してみたらより文字を詰められるレイアウトも組めました。そちらでもよかったかもしれません。

というわけで今もって模索中とはいえ、組み方としてはA5に近い感覚でいけました。ノドに余裕を持たせたのは今後厚めのB6・2段を作る際に具合を見たかったからというのもあります。

あとはペラ本感を出したいので表紙も薄めの用紙を選びました。全体的に凹凸があってキラッとしているパール調。
てかちょ古っ都さんめっちゃ紙増えましたね!?
10営業日とアップローダー割あわせると驚きのお値段だし納品希望日2ヶ月前から予約できるので、速筆であとはちょっとした校正と入金入稿のみ!な原稿戦士のかたも予定を押さえておけて安心。


終わりに

B6って取り回しがいいな、という印象です。
組版の自由度が高くて装丁も少し遊べる。特に凝らなくていい時も、180kg~200kgくらいのよくある印刷所標準表紙用紙でもいけるのは強い。

A5より一回り小さいサイズ感もかわいいです。今回ページ数がそこまで多くなかったのもありますが、手が小さくても持ちやすい。

もっと装丁を凝るならカバー付きや見返しなどで商業ソフトカバー風・ラノベ風もできますね。イラスト表紙(カバー)も映えるんじゃないでしょうか。それでいてサイズ的に「小説本ですよ感」も出せる。エッセイ・コラム本なども「ぽさ」が出そう。
さらに凝るなら上製本でもいけるサイズですね。夢広がりますね!?

B6の可能性の広さを思い知った本作り体験でした。
あとたぶん最近何気に流行ってるかもしれない、B6。
迷ったらちょっとB6やってみませんか? 怖くないので。

以下、宣伝というほどでもないのですがそっと置いておきます。


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