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漫画レビュー28 魔剣使いの元少年兵は、元敵幹部のお姉さんと一緒に生きたい

勇者一行に捨てられた少年と魔王軍に捨てられたお姉さんが出会うお話。

こんにちはメルカです。

今回の漫画レビューはこちら
「魔剣使いの元少年兵は、元敵幹部のお姉さんと一緒に生きたい」です。


原作:支倉文度 漫画:牧田ロン


転生などはない普通の異世界ファンタジーです。


        ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

主人公は魔剣使いの少年セト

物語は勇者が魔王を討伐する為の旅の道中から始まります。

セトには魔剣を召喚して操ることができ卓越した戦闘力があります。
兵士として戦う彼は、例え逃げている人であろうと敵であれば容赦なく切り捨てます。

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その様子を見る勇者の目はとても冷たい。
そして勇者は言います。

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君はただの殺戮者だ。君みたいな残虐な人間は今日限りでパーティから外す。」

物心ついてから今まで大人たちに言われるまま戦ってきた少年ですが、一人で生活をしたことはありません。

勇者に強制的に離別を言い渡されたセト。
仕方なく森をうろついていると、魔王軍の元幹部である魔人サティスと出くわします。

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今まで幾度となく対決し刃を交えた相手との遭遇。
(上記サティスの画像は過去に戦った時の彼女のイメージです。)
すぐさま戦闘態勢を取るセト。


…でも彼女の足取りがおかしい様子。
眼鏡も割れていてフラフラで倒れ込んでしまいました。


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訝(いぶか)し気なセトでしたが、そのまま放ってもおけず近くにあった小屋に連れ込み布団に寝かせます。

目覚めたサティスは開口一番「きゃぁああっ!?」と叫び恐怖に身を震わせます。

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訳が分からないセトはとりあえず対話を試みます。

セトが知っている魔人サティスは策略家で本人自身も強い。
残虐非道で目の前で敵はもちろん味方の魔物が死んでも平然としているような性格でした。

「サティス。アンタどうしちまったんだよ。」

少し落ち着いたサティスは独白します。

何度も勇者討伐に失敗した自分は魔王様に失望され処刑を言い渡された。
処刑の日まで幾度となく屈辱的な拷問をされ心を”恐怖”に支配されてしまった。

処刑前に命からがら魔王領から抜け出しこの森まで逃げてきたとの事。

…………

一連の話を聞いたセトもお返しとばかりに自身の現状を話します。

セトは勇者に殺戮者だと言われパーティを追い出された話をします。

物心ついた頃には少年兵として働いていた彼は兵士として生きる以外の生き方を知りませんでした。


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サティスは彼の国では少年兵は法律で禁止されているはずなのにと訝(いぶか)しがりますが、それよりもこれからどうするかを考えるのが先です。

彼女自身、混乱した現状に心の整理が追いついていない状態です。

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翌日、セトは朝食用に森で果物を取りサティスにも分け与えます。

なぜ施しを?と問うサティスに
「自分は国に帰っても国賊、帰っても処刑される。もう誰が敵で誰が味方だのは関係ない。」などと答えるセト。

「幹部だった私を捕らえて引き渡せば極刑は免れるのでは?」と続けますが、セトは「もういい。」と興味がない様子。

どうやら別に国に未練はないようです。

やたら冷静だなと思うサティスは悟ります。

この子はもう色々諦めていて心が摩耗しきっているのだ、と。

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彼には帰るところがない…私と同じ。

そんな時に魔物に出くわします。

当然元幹部であったサティスのことを知っていて、処刑前に逃げ出したことをなじります。
散々イジメて食らおうと近づく魔物。
サティスは拷問されていた時の記憶が蘇り震えが止まりません。

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セトはもうサティスを以前のような敵とは認識していません。
彼女を守る為にその魔剣を振るい魔物を片づけました。

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「助けてくれたの?」

「殺さなきゃ(二人とも)殺される。死ぬのはやっぱり嫌だ。」

「みっともない。こんなに弱い自分とは知らなかった。」

「戦場や拷問で無力感を覚えることはよくあることだ。俺もそうだった。」
セトも拷問を受けたことがあるようです。

「私は魔人ですよ。人間より遥かに強くて…。」

セトは人も魔人も関係ないと断定します。

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気持ちの整理がついてきた二人は今後について考えます。

セトはいつか自分の家を持ちたいと夢を語ります。
よければサティスも一緒に付いてきてくれないかと誘います。

少し迷ったもののサティスは頷き行動を共にすることにしました。

とりあえず街へ向かう二人。
休憩しながら少しずつ親睦を深めていきます。

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今まで勇者のパーティで過酷な労働を強いられていたにも関わらず不遇な生活を送っていた少年兵。

彼はこれからサティスと共に旅することで年相応の普通の少年らしさを取り戻していきます。


        ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



いかがでしたでしょうか。

この後は街での新しい出会い、セトが抜けた後の勇者一行の様子、またサティスが抜けた後の魔王軍の変化など場面転換を繰り返しながら物語が進んでいきます。

種類は違えどどこか人としての心が欠落していた少年とお姉さん。

彼と彼女がお互い助け合っていくことで芽生える恋模様も見どころの一つですね。

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