マイ乳酸菌を育てる「最新! 腸内細菌を味方につける30の方法 」藤田紘一郎
ウンコの専門家として名高い藤田紘一郎氏。近年の研究をまとめた本ということなので、ぜひ手にしなければと思い購入。なにせ、腸内細菌の研究は日進月歩で進んでいる。
「わずか数年の間に、腸内細菌をとりまく環境は変化しました。近年の遺伝子研究とコンピューターの発達を受けて、腸内細菌の大規模な遺伝子解析が行われたことが1つのきっかけとなっています。・・・研究のさらなる発展によって、この2~3年のうちにこの本に書いたことがひっくり返されてしまう可能性もあるからです。」(最新! 腸内細菌を味方につける30の方法 藤田紘一郎 ワニブックスPLUS新書 P4-5)
*今から5年前の書評を再掲載
「マイ乳酸菌」を増やす
「最近の研究により、腸にはその人特有の乳酸菌がすみついていることが明らかになりました。私はコレを「マイ乳酸菌」と呼んでいます。・・・マイ乳酸菌がどんな種類で何種類いるのかは、その人自身の因子によっても違ってきますし、乳児期に誰に世話をしてもらったかなどの環境因子によっても違ってきます。」(P139 )
「マイ乳酸菌は腸に住むことを許された菌たちです。生まれてまもなく自分の腸に住みついたマイ乳酸菌を増やすことが、腸内環境をよりよく整えるためには欠かせません。」(P141)
最新! 腸内細菌を味方につける30の方法 藤田紘一郎 ワニブックスPLUS新書)
「マイ乳酸菌」という視点は、非常に新鮮だ。生まれた瞬間の赤ちゃんの腸にはほとんど腸内細菌はいない。母乳を通して母の細菌を受け継ぎ、周りにあるもの、近くにあるもの、口にはいる物からどんどんと細菌が増えていく。生後一年間の間に、その人特有の腸内フローラのベースが形成される。
もちろん食生活や、その後の養生でフローラ(お花畑)の変化は起こるが、基本的には、幼少期にその人の腸内環境のベースが決まることになる。
興味深いことに、腸に入る細菌がすべて、その人の腸内フローラに影響をおよぼすわけではないようだ。最近の研究では人が固有に持つIgA抗体がどの乳酸菌を定着させているかを決めている、ということも分っている。
とすると、単にさまざまな種類の乳酸菌を出来る限りとれば良い!というものではないのだ。腸に定住できずに、すぐに出て行ってしまう菌がほとんどなのだ(これを「通過菌」と呼ぶ)。自分の腸内環境にピッタリの菌を摂取すること、および、今の自分が持っている腸内細菌(マイ乳酸菌)を育てる・元気にすることが、何より腸内環境改善に役立つのだ。
各種サプリで、「このサプリには何百種類の乳酸菌が入っている!」「生きて腸に届く乳酸菌だからすごい!」と謳っているが・・・、自分の腸に影響を及ぼせないとすれば意味が無いことになる。この考え方がわかれば、さまざまな食養生・健康法がある理由、効く人もいれば、効かない人がいる理由も分かってくる。
腸内細菌にエサをやろう
そのため、この本で提唱(藤田氏が提唱)しているのは、オリゴ糖や食物繊維という乳酸菌のエサを食生活で与えることだ。すると、もともと、自分の腸の中にいる「マイ乳酸菌」が活発になっていくわけ。
藤田氏がイチオシしている食品は「酢玉ねぎ」。「玉ねぎ」の中に入っている天然のオリゴ糖が抜群らしい。これを聞いて、さっそく、奥さんが「酢玉ねぎ」を作った。
酢玉ねぎは、数か月続けたが、その後はいつの間にかやめていた。腸内細菌のためにオリゴ糖が必要であれば、サラシア茶などを飲むのも有益だろう。糖質をオリゴ糖にして腸に届ける効果を持つお茶だから。
腸内細菌・腸内環境ブームだが、単に乳酸菌の数を増やすことではなく、また量を摂取することではなく「マイ乳酸菌」という考えを理解することの大切さを学んだ。