糖質制限の育毛効果?「55歳のハゲた私が76歳でフサフサになった理由」 藤田紘一郎
すごい本を読んでしまった。何がすごいって、自分が、こういう本を読むような年齢になったことがすごい。友人が転居する時、育毛剤を二本くれた。新品未使用だったので、つけてみたけど、薄毛が、よりいっそう薄くなった。本当に腹が立つ。彼とは、あれ以来会っていない。
ここ近年は、薄毛が深刻だ。この本を読んで、本当に糖質制限で髪が生えるの?という疑問(期待)を抱きながら時間を過ごした。
糖質制限で髪が生える
藤田紘一郎氏は腸内細菌に関する研究の第一人者だ。実は、知る人ぞ知る糖質制限推進者なのだ。表紙やタイトルにもあるとおり55歳頃の体調が最悪だったそうだ。糖尿病で肥満していた。また、薄毛に悩まされていた。藤田氏が一念発起して糖質制限を始めたのは71歳のとき。2ヶ月で血糖値が下がり、1年後には薄毛が解消されたことに気づいたそうだ。自らの経験から、糖質制限と薄毛という切り口で食生活について語ろうという意欲作だ。
うん、でも正直に言うと、かなり一般的な食生活指南本で、これまで藤田氏の本を何冊も読んでいる私としては、それほど目新しいことは無かった。でも、育毛の観点からいくつか学べたことはあった。
その壱:AGEを防ぐ食生活
HAGEじゃない。AGE。アンチエイジングに詳しい人なら誰でも知っている言葉だ。糖質が体のなかにたくさん入ることで、糖質とたんぱく質が結びついて劣化したAGE(終末糖化産物)が体内に生まれる。
AGEが体内に増えていくと、藤田氏の表現によれば人体は「スローミイラ」化していく。皮膚のはりや、つやが減り、結果として頭皮も影響を受けるという。髪の毛の成分も元を正すとたんぱく質なのだから、良質なたんぱく質が体内に無ければ、作り出されるものは劣化したものになるのは理屈だ。
藤田氏は糖尿病の頃の自分の髪の毛は「コシがなく、へなへなと弱っていた」と書いていた。うむ、たしかにそんな感じはする。最近、私の髪の毛にも、まったく元気ややる気を感じない。抜ける髪の毛が柔らかい。常に体のなかに、新しい強い髪の毛を生んでくれる良質なたんぱく質が存在しているような状況を作らなければならない。そうであれば、糖質制限+たんぱく質補給(MEC・プロテイン生活)は間違っていないはず。
AGE(揚げ物)に注意
私の場合、主食から糖質を抜くことや、清涼飲料水、お菓子などを食べない習慣は確立されている。けれども、揚げ物や熱を加えた食品はわりと多く摂っていることに気づいた。AGEは糖化によって生じるだけでは無く、揚げ物やレンジでチンされた食品などからも入ってくる。改めて感じたのは、糖質制限を実践しているのに、AGEの多い食品に関しては考えていなかったことだ。これは片手落ちもいいところだ。
人間ってのは、自分に都合のよいように言い訳するので「お肉(唐揚げ)は太らないからいくらでも食べていい」とか「マヨネーズは酢と卵と油だから糖質はないのでいくら食べてもいい」とか言っちゃいがちだ。
糖化に注意し、同時に食品から入り込むAGEを防ごうとすれば、食事はどうしても「煮る」「蒸す」などになる。海藻や納豆、ネバネバ食品を多くとること、後半はいつもの藤田氏の推奨する食事の話になる。耳が痛いけど、糖質制限だけから、食生活改善に入っていくと糖質以外の肝心なところがすっぽり抜け落ちた食生活をしてしまうことになりかねない。ちょっと、ここら辺は調整の余地がある。
マグネシウムを意識した「マゴワヤササシイ」食事が良さそう。
その弐:活性酸素の害から体を守る
体内から、頭皮や毛髪を劣化させるAGEに対し、体外の原因に端を発する薄毛の理由もある。それが活性酸素だ。活性酸素は一言でいえば体の「さび」だ。活性酸素には、もともとは有用な目的がある。人体に侵入したウイルスや細菌などの異物を攻撃するのだ。
しかし、現代社会には昔は考えられなかった「異物」が満ちている。タバコや電磁波、シャンプーやドライヤー、水道水の塩素など、対外から加わるこうした刺激に応じて、活性酸素が生まれ、活性酸素は体内の中で暴走し自らをも傷つけてしまう。我が家では20年以上前から合成界面活性剤を使用しているシャンプーや洗剤は生活から排除している。しかし、体外から加わる刺激のなかで、ひとつ手抜かりがあった。それは水道水の塩素だ。
シャワーの塩素を取り除く
私の薄毛の80%は後頭部で、ここは主にシャワーが直撃している場所であることに注目した。毎日、朝・晩のシャワー生活をずっと続けていますが、そういえば、この原因はほとんど考えていなかった。
日本の水道水は世界でもいちばん塩素を含むと言われている。大腸菌などが水に混入しないように、過剰とも言えるほど塩素が添加されているために、日本人の腸内細菌は非常に少ないのだ。そして、この塩素を含む水を頭につけ続けると、皮膚の常在菌が死滅してしまう。そこで、藤田氏はシャワーヘッドを交換し、塩素対策しているのだとか。
思い立ったら即日の人=私はさっそく塩素除去シャワーヘッドを購入した。
アスコルビン酸(ビタミンC)を入れることで、塩素の害を打ち消すという面白い仕組みのシャワーヘッド。この本を読まなければ、決して買わなかったようなものを購入した。出会いって素晴らしい(涙)
今まで、進行していく薄毛に何も打つ手がないままだったが、食生活のAGE対策と塩素を防ぐシャワーヘッドというのは、すぐに実行できそうで希望が持てる。すっかりなくなる前にできることがある(涙)。
藤田氏の推奨する食生活は食物繊維や海藻類、適度の穀物などが含まれており「和食」に近い。「肉食べ放題だぜ~」というインパクトはないが、きっと正しいのだろうと思わせる根拠がある。どこまで実行できるか分からないけど、できることは行っていきたい。髪がかかっているんだから。
#糖質制限 #育毛 #55歳のハゲた私が76歳でフサフサになった理由 #藤田紘一郎 #書評 #読書感想文