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見られている意識が苦しい。対人恐怖症の治し方(3つの方法)

対人恐怖症の症状が出始めたのはいつの頃からだったか。とにかく、対面するのが苦手だった。道で人とすれ違うことから、レジで向かい合って立つこと、電車の向かい側の人と目を合わせること。目線をどうしてよいかわからず、あちらを向いたり、こちらを向いたり、必死でスマホを見て何とかしているという有様だった。今でも基本的な感覚はそれほど変わらない。

しかし、対人恐怖症の根本が「人から見られている」という意識。まあ、言っちゃえば、自意識過剰にあるということが分かってから、ひとつずつ解決策を見つけるようになった。そして、かなりの程度、改善がみられている。私の経験や、学んだこともふまえた3つの方法を紹介しよう。

(1)実は見てない

私が極端に苦手なシチュエーションの一つがレジを挟んで対面することだ。買い物だからしょうがないのだけれど、冷静に考えると、あんなに近い距離で対面することは普通はない。あまりにも、耐えがたいので、もしかして異性恐怖症?(レジにいる若い女の子の目を意識しすぎ?)なのかと思ったけれど、おばさんだろうが、おじさんだろうが、変わらないのだ。

しかし、ある店での出来事がきっかけとなり、考え方が少し変わった。その店のレジの人は必要以上にアイコンタクトするのだった。あまりにも長く目を見つめてくるので、こちらは目を背けたり、うつむいたりしなければならない。毎回、そういう状況で、なんとなく「負けている感」を感じるようになった。それで、ある日、意を決して、そのレジ係の顔を正面から見てみたのだ。そして、驚きのあまり腰を抜かしそうになった。

なんと、顔はこちらに向いているのだが、目は完全に閉じられていたのだった。目をほそめて笑顔を作っているが、ほぼ完全に目を閉じているのだ。見ていると思っていたけど、見ていなかったのだ。きっと、その店員も、お客さんの目を見るように言われ続けてマスターした方法なのかもしれない。

「実は見ていないのかもしれない」。そう思って、様々な人を見ていると、実はほとんどの人が、他の人を見ようとしていないことに気づくようになった。時々、ジロジロ見ているおじさんとかいるけど、そういう人って、あきらかに変(空気が違う)なので、浮いているのだ。だから、ほとんどの人は、あなたを見ていない。

それが答えなのだ。

ちなみに、見られていると思い込んで、キョロキョロする動きも、かなり挙動不審なので、その動き自体は、注目される可能性があるので気を付けよう。

(2)こちらから見る

実は見られていないと思えば、攻めに転じることができる。見られている恐怖を確実に克服するためには、こちらか見ることしかない。攻撃は最大の防御なのだ。見られていると思う人は逃げ腰になるが、こちらから見ようとする人は気持ちが前向きになるだろう。

この考え方は精神科医の反田氏の本から学んだ。

「他者の視線を恐れなくなるもっとも簡単な方法は、視線の方向を変えることです。自分が見られていると思うのではなく、自分のほうから他者を観察するのです。他者からの視線を不安に思う人は、他者の視線で自分のことを見ています。意識は自分に向いているので、自分はずっと「見られる側」にいそうではなく、自分が他者を「見る側」になりましょう。「見る側」と「見られる側」なら、「見る側」のほうが立場が優位なのです。」

具体的な方法としては、相手を観察することだ。どんな表情なのか、どんな癖があるのか、どんな持ち物を持っているのか、注目する場所を決めて観察を始めると、視点は「見られる側」から「見る側」に変わる。

街中で出会う人、すれ違う人、一人一人の人生や背景を想像してみるのも面白いかもしれない。シャーロックホームズばりに、ちょっとした持ち物や、その人の癖から、どんな人生がそこにあるのかを洞察するのも面白いではないか。人間ウォッチングができるようになると、とにかく最高の暇つぶしを持つことになろう。

こちらから見る意識を持つようになると、実は大半の人が見られる意識を持っており、対人恐怖症気味の人も少なからずいることが分かってくる。見られるのが怖い!という心の声も、聞こえてくるのだ。ああ、そうか、君も、あなたも同じなんだよねと分かるだけでも、気分は楽になるものだ。

(3)見せてみる

最後の方法は、すでに振り切ってしまっていて、ちょっと変態っぽいのだが「見せてみる」ということだ。あえて、自分が相手にどう見えているのかをイメージしながら、自分が見せたい姿を見せるようにする。これは、俳優の感覚に近いかもしれない。

このことを発見したのは、近年、増えているテレビ会議システムを使っている時だった。話している自分の顔が映るのを見ているのは最初は苦痛だったが、そのうちに、どんな角度で、どんな表情で話すと、比較的いいのか分かるようになってきた。そのうちに、焦ってても余裕を感じさせる表情や、眠たいのだけれど考え深く見える角度などを研究するようになった(笑)

対面で話していて不安に感じるのは、自分が相手から見てどう見えているのか正確にわからないからだと分かったのだ。自分がどう見えているのかが分かれば、それに応じて、見せ方を作ることができる。俳優は常に、自分がカメラに収められる姿をイメージしながら演じている・振舞っているのだろう。別に素の自分である必要はない。

性格(パーソナリティ)は、ペルソナ(仮面)が語源なのだから、誰しも、よそ行きの仮面をつけて接するのが、この社会のルールだ。自分が魅力的に見えるように研究すればよいではないか。

見られている意識を越える

3つの方法、どれも「見られている」という受け身の姿勢を脱した時に、効果的な対人恐怖症克服法となる。

言い方は悪いのだが、対人恐怖症は、ほんと自意識過剰なのだ。自分のことを過剰に評価している。まるで、ステージの上でスポットライトを浴びているかのように感じているのだけれど、実際の自分は主役ではなく、村人Aに過ぎないのだ。現実を知ることだ。基本的に、あなたに注目しているのは、あなた自身と家族くらいのものだ。一瞬目を向けても、他の人は、その存在すら思い出さない。一日の終わりには存在を思い出すこともないのだ。

事実を知ったうえで、自分の内面にある怪物と闘おう。対人恐怖症がどれほど苦しいかわかっている。毎日、毎日、人と接するすべての場面が苦痛なのだ。私もメンタルのコンディションが悪い時は、どうしても疲れ切ってしまうことが多い。人ごみに出ていくと、その後は立ち上がれないくらい疲れる傾向はいまだに変わらない。それでも、対人恐怖症を克服する方法を自分は持っている、切り札があるんだという意識が自分を強くしてくれる。

この方法が少しでも、対人恐怖症の同志に役立ってほしい。

ちなみに妻は対人恐怖症のかけらも持ち合わせていない。長年レジ係をしてきたが、毎日、顔を合わせるお客さんの顔も一切覚えていないそうだ。目的を果たすことに価値を置くタイプで、相手がどんな顔だったか、目があったか合わないかなど、まったく気にしたことがないという。対人恐怖症を克服するための方法を、何年も何年も考え続け、様々な実験を繰り返す私と妻の人生は、まるで違うものだと感じる。

なんか、時々、自分は壮大な無駄を生きているように思ったりする(笑)

#対人恐怖症 #対人恐怖症克服 #HSP #人の目が気になる

大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq