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習慣を変える方法「習慣の力」チャールズ・デュヒッグ
人間の行動の40%は習慣だという。その都度、考えてはいないのだ。習慣が意識の力を超越するという事例が「習慣の力」の最初に取り上げられているユージンの例だ。ユージンは、ある日、ウイルス性脳炎にかかり、側頭葉が破壊され短期的な記憶をほとんど失ってしまうことになる。少し前に交わした会話でさえ覚えていることができないのだ。しかし、彼は「習慣」を失うことはなかったのだ。
ユージンは散歩に出たことさえ忘れてしまうのだけれど、道を間違えることはなかった。自分では意識せずに、正しいルートを通って帰ってくる。意識の背後にある習慣の力は根強い。習慣を自在に作る(消す)ことができれば、人生の40%は自分のコントロール下におけることになる。習慣形成のメカニズムについて知るために手に取った本だ。
習慣を変える方法
習慣は分解すると、以下の要素で作られている。このことが分かると、習慣を自在に作り出す(消す)ことができるようになる。
1:きっかけ
2:ルーチーン
3:報酬
著者があげている実例がある。著者自身の悪い習慣だ。午後になると、カフェにいってチョコチップクッキーを買ってしまうことだった。何度やめようとしてもやめられなかった。習慣になってしまっていたからだ。
しかし、習慣の3要素を分析していくと、習慣をやめる(変える)ことができるようになる。まず、わかりやすいのはルーチーンだ。
ルーチーン:午後になると立ち上がってカフェに行き、チョコチップクッキーを買って食べながら友人と話すこと。
しかし、きっかけと、報酬を突き止めるのは、思いのほか難しい。ほとんど意識しないで行っているからだ。何が報酬になっているかを調べるには、チョコチップクッキーを買う行為をやめて、代わりになる行為をいくつか行ってみる実験が必要になる。
報酬として、考えられるものとして・・・
・お菓子を食べること
・デスクから立ち上がって運動すること
・同僚と話しをすること
などが考えられる。毎日一個ずつ条件を変えて、自分が何を求めているかを探り出していく。一連のルーチーンを終えて、まだ以前の習慣を欲しているなら、報酬が間違っている。この地道な実験を繰り返して、著者は自分の報酬に気づいた。
報酬:「友人とのおしゃべり」
だということに気づいたのだった。では、きっかけは何だろうか。きっかけを見つけるためには、次の5つのポイントを毎日記録すればよい。著者の例をあげれば次のようになる。
きっかけを見つけるためのポイント
・場所:デスクに向かっていた
・時間:午後3時36分
・心理状態:飽きていた
・自分以外の人物:誰もいない
・直前の行動:メールの返事を書いていた
数日、この記録を続けると、だいたい3時半前後に衝動が起こることが分かった。そして、仕事に飽きていたり、疲れていたりした時に、チョコチップクッキーの習慣が始まるのだった。
きっかけ:3時半前後、仕事に疲れたと感じた時
著者は、習慣を分解して考えてきたおかげで、自分の行動パターンが分かるようになる。仕事に疲れた3時半頃に、立ち上がってチョコチップクッキーを買いに行くという口実をつけて、同僚と話に行くことが、自分の習慣になっているのだということ。
これが、分かれば、チョコチップクッキーに頼らない習慣を作り直すことができる。実際に著者が、新たに作り出した習慣は下記の通りだ。
きっかけ:3時半(アラームをかける)
ルーチーン:友人のデスクに行って10分話をする
報酬:気分転換になる
著者は、すでに6か月間、チョコチップクッキーを買う習慣に屈していない。この同じ方法を使って、自傷行為のような破壊的な習慣をやめさせることに成功した例も出てくる。
私たちが「習慣」をイメージする時に浮かぶのは、いわゆる「ルーチーン」だけだが、これをさらに分解して「きっかけ」と「報酬」さえ突き止めてしまえば、生産的ではない習慣をやめることはできるのだ。
夜の習慣を変えたい
今、私が取り組んでいるのが、夜の習慣だ。22時台には寝る用意をして、23時には就寝していること。朝は5時台に起きることが目標だ(7時間は睡眠時間が必要なので、そのためには23時に寝ないといけない。)朝の習慣は、だいたい狙った通りにコントロールできているのだが、夜は、なぜかダラダラしていて、気がつくと、23時をとっくに過ぎていることが多い。
「習慣の力」で学んだ方法で、夜の習慣を形作りなおすことができれば、生活の質は大きく上がる。朝・夜に取り組んだら、今度は昼(昼食前後)だ。習慣に従っている時のマウスは脳の機能が落ちているという。つまり何も考えずに動いているのだ。一日のうちの、かなりの部分を、何も考えずに動けるようになると、いざという時に意志力・エネルギーをしっかり残しておくことができるようになる。
生産的な習慣を作り、習慣に従って生きることは、願った通りに生きる究極の秘訣なのだ。
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