表情のトレーニング、感情のマネジメント：スポーツ心理学の新たな視点

笠原彰　とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員　プロメンタルコーチ　作新学院大学教授

2023年12月8日 12:02

「表情は感情のバロメーター」と考えられがちですが、この考えはスポーツ選手が試合中に感じるプレッシャーに似ています。スポーツでは、「心＝パフォーマンス」と信じられていますが、感情とパフォーマンスは必ずしも一致しないのです。

感情は避けられないもので、常に前向きでいることは不可能です。試合中、負けたくないという気持ちを持つことは、時には強いプレッシャーになります。自然体でいることができなければ、それは本来の能力を発揮することを妨げるかもしれません。

しかし、コアフェイストレーニングを通じて、内面の感情に関わらず、その場に適したパフォーマンスを発揮することが可能です。これは感情と行動を切り離す訓練であり、内面の怒りを外に出さずに、冷静に試合に臨む能力を身につけることを意味します。

表情のトレーニングは、スポーツのトレーニングに似ています。自分のクセを理解し、それを改善することで、新しいスキルを習得し、パフォーマンスを向上させることができます。ただし、性格のクセを変えるのは困難であり、表情（ここではパフォーマンス）を変える方がはるかに簡単です。

笠原彰心理学的分析
表情（またはパフォーマンス）のトレーニングは自己認識の重要な部分であり、自分自身や他者との相互作用に大きな影響を与えます。ミラーシステム理論によれば、他人の表情や行動を模倣することで、感情が伝播し、心理的な安定感や満足感が高まります。これは、チームスポーツでのチームワークや士気の向上にもつながります。

最終的には、日々のトレーニングがパフォーマンスの向上に不可欠であり、その結果として自然と感情もポジティブな方向に向かうことが期待されます。ですから、「今すぐに内面を変えよう」というプレッシャーを感じる必要はありません。むしろ、段階的に自己改善を図ることが、長期的な成長と幸福への道です。

笠原彰プロフィール：

作新学院大学メンタルトレーニング教授
とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員
プロメンタルコーチ
自己肯定感養成プロコーチ
ライフバランスアーティスト
健康運動指導士
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メンタルヘルス運動指導員

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