祖父が出会った神様/母、取り憑かれる
皆様、今日も一日、お疲れ様です!
私の家族に起きた、
不思議で少し怖い話をしてみようと思います。
実は私、オカルトやホラーが大好きなんです。笑
祖父が出会った神様。
私が3歳の時に父が亡くなり、
母方の祖父母の家で
母と祖父母と暮らしていました。
祖父母の家の近くには、
お稲荷様を祀っている山があります。
この山のことを以下、K山とします。
祖父が小学生の頃にK山で起きた出来事です。
(もともと祖父の家族が住んでいた土地の近くに、祖父母の家があります。)
祖父は弟と2人、K山で栗拾いをしていました。
今日はたくさん栗が拾えたなぁと
山の中を歩いていると、
正面から誰かが歩いてきます。
その「誰か」の姿がはっきり見えた時、
祖父はハッと息を呑みました。
白無垢を着た花嫁姿の、若い女性。
真っ白な肌に、唇の赤い紅が映え、
この世のものとは思えないほど、美しい。
祖父と弟は声を出すのも忘れるほど、
女性の姿に見入ってしまった。
祖父はその女性とすれ違う瞬間、
目が合ったような気がしたと言います。
前を通り過ぎて行く白無垢姿の女性を横目に、
意識が飛ぶような感覚に陥った。
どのくらい時が経ったか、
祖父はフッと意識が戻り
すぐさま後ろを振り返りましたが、
そこにはもう女性の姿は、ありませんでした。
「兄ちゃん、綺麗な人だったねぇ。」
弟が祖父にそう言い、
「そうだなぁ。なんだったんだろうね。」
その後、2人で何事もなく山を降り、
家路についたそうです。
この日の出来事を祖父の母へ話したところ、
「あんたたち、狐に化かされたのよ。」と。
「俺はただの狐とは思えなかった。」
「もっと位の高い、そうだなぁ、K山のお稲荷様か山神様か。」
「まぁ、神様を見たと思えば自慢できるだろ。」
と、祖父は笑って私に言いました。
確かに一説には山の神様は女神様であると、
聞いたことがあります。
奥さんのことを「カミさん」というのも、
この説が関係しているとか。
私自身も山神様が怒るから女性だけで山に登ってはいけないと、祖父母から厳しく躾けられていました。
また、お稲荷様も一説によると、作物を育むということで女の神様とされたようです。
祖父の話を聞き終わり私は、
「女神様ってやっぱ美人なんだね!」
と、くだらない感想。笑
生きながらにして神様と会うことができた祖父。
少し羨ましく思ったのを、覚えています。
母、取り憑かれる。
偶然にも、祖父が神様と出会った季節と同じ、
紅葉の色付く頃でした。
私は当時、小学3.4年生だったと思います。
祖父と母と私、3人でK山に登り、
ピクニックをした後でした。
私はまだ帰りたくないと駄々を捏ねまくり、
孫を溺愛していた祖父は、じゃあ散歩しようかと
少し奥まった山の中へ連れて行ってくれました。
落ち葉で遊んだり、栗拾いをしたり、
クタクタになるまで遊んでもらった私は満足し、
日が暮れる前に3人でK山を降りました。
家時に着き夕飯とお風呂を済ませて、
私は祖母と一緒に1階の居間に布団を敷き、
眠りにつきました。
祖父は居間の隣の仏間で寝ていました。
母は2階の部屋で1人、寝ていました。
私は、夜中にハッと目が覚めました。
部屋の電気が付いている。
2階から母と祖父母の声がしました。
私は恐る恐る2階に上がると、
心配そうに祖父母が部屋の扉を開け、
部屋の中を覗いています。
母が私に言いました。
「もう、入れないよ。」
「部屋の中に沢山いるの、だからもう入れない。」
「誰がいるの!誰もいないじゃん!」と私。
「ほら、そこにも、そこにも、」
と虚な顔でブツブツと呟やく母。
そして、しばらくするとシクシクと泣き出しました。
今までに感じたことのない恐怖を覚えました。
お母さんが、おかしい。
この人は私のお母さんではない。
直感的にそう感じました。
祖父母によると夜中に母の声で目が覚め、
2階に上がってみると、母が部屋で1人、
手を叩きながら大声で笑っていたとのことでした。
その日はひとまず祖父が母を一階に連れていき、
祖父と母が仏間で寝ることに。
私は母ではない何かが、怖くて怖くて
一晩中祖母にしがみついていました。
次の日、目が覚めると、
祖母と祖父が出掛ける準備をしています。
祖母にどこかへ行くのかと聞くと、
「お母さんのお祓いに行くんだよ。
あんたも行くの。」
お祓いって?お母さんはどうしちゃったの?
祖母の言葉に私はより一層、不安に駆られました。
祖父が運転する車に乗り、
自宅から30分ほど車を走らせます。
閑静な住宅街の中にある、
少し大きめな平屋の家の前に着きました。
駐車場に車を停め、
祖父が玄関のチャイムを押すと、
中年の女性が出迎えてくれました。
家の中に入り、案内された部屋を見て私は驚きました。
部屋の奥に、いくつかの神様のような金ぴかの仏像。
仏像の前には仏具のおりんのようなものや木柾、
沢山の果物と豪華な花のお供物。
大きい仏壇のある、広い仏間のような部屋を
イメージしていただければと思います。
その部屋で、正装用の法衣のような物を着た70代くらいの男性と女性が笑顔で出迎えてくれました。
その男性と女性がお祓いをしてくれるとのことでした。
お祓いについては、仏壇の前でお経を唱える仏教式のものだったと記憶しています。
一通りお経のようなものが終わり、お祓いをしてくれた男性と女性、そして私達家族は部屋の一角にあるテーブルを囲みます。
女性がとても優しい声色で、隣にいる母に話しかけます。
「あなた、なんでこの方についてきちゃったの?あなた子供がいるでしょう、子供は置いてきたの?」
母は女性の言葉を聞き、
しくしくと泣きだしました。
すると、玄関で出迎えてくれた中年の女性が何かを運んできます。
お皿の上に2つ置かれた、おいなりさん。
それを母の前に差し出しました。
母は泣きながら、おいなりさんを食べていました。
「美味しい?お腹が空いていたんだよね。あなた、子供を亡くしたのね。だからこの方が羨ましくてついてきちゃったのね。」
母はより一層泣き出し、
女性の言葉にうんうんと頷き、
「死んじゃったの。あっちにいったの。」
と上の方を指差して訴える母。
「辛かったねぇ。でもね、この方にいつまでもついてたらダメなの。私があなたの子供のところに連れてってあげるからね。そこでまた、会えるからね。」
母は笑顔になり、うんうんと頷いていました。
女性が母の背中を軽く叩きながら、再び横にいた男性がお経のようなものを唱え始めました。
母はうずくまりながら、声をあげて泣いていました。
その時間は、約10分程だったと思います。
お経が終わり、女性が母に話しかけます。
「もういなくなったよ。軽くなったでしょう?」
いつもの母の顔に戻ったように感じました。
母は少し驚いた表情をし、
「分かります。軽くなった!」
と言い、笑顔。
お祓いは終わったようでした。
その後、女性が母に憑いていたモノの正体を教えてくれました。
母に憑いていたのは、
子供を亡くした母狐だったそうです。
K山で遊ぶ私を見て、子供がいる母を羨み
取り憑いたとのこと。
祖母が母に取り憑かれていた間の記憶はあるのかと聞きました。
「記憶はあるけれど、自分ではなくなってしまったような感じ。身体が勝手に動いて笑ったり泣いたり、自分の感情も乗っ取られているような。とにかくずっと、悲しい辛い気持ちでいっぱいだった。」
私は母にずっと気になっていたことを聞きました。
「2階の部屋に何がいたの?」
「狐。沢山の狐がいたの。」
母の言葉に、背筋が凍りました。
女性から母とできれば祖父は、
今後K山に行ってはいけないと言われました。
母と祖父は狐に憑かれやすい体質だから、と。
最後に。
お読みいただき、
ありがとうございました。🥰
その後、私達家族に不思議な現象は起きることなく、平和に暮らしました。
お祓いをしてくれた方は、
住職さんと尼さんだったのでしょうか?
あの場所はお寺の本堂だったのでしょうか?
祖父母は既に他界しており、母もお祓いをしてくれた人達や場所について、詳しいことは教えてもらえなかったとのことです。
今でもはっきりと思い出せるくらい、
小学生の私にとっては衝撃的な出来事でした。
書きながら当時を思い出して、鳥肌が止まりませんでした。
こわかったぁぁぁ。
母に取り憑いた母狐が、
子狐に会えたことを祈ります。
皆様からの「スキ」がとても励みになります!
明日からもまた、生きていきましょう。
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