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#小説
【小説】『薬袋美鈴の救済』 ※打ち切り供養
『薬袋美鈴の救済』
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夜が好きだった。静寂に包まれていれば多少なり、心の安定を保てた。昼下がりの雑踏、人々のひしめき合う声、その音が私に取っては耐え難い苦痛であったのだ。だから夜が好きだった。人々が寝床に着いて夢を見る深夜だけが、私の騒ついた精神を癒してくれる安定剤なんだと言える。
深夜徘徊、私が出会ったのは最低最悪で最高の人生を変える存在"三鷹未來"という少女。10歳も歳下の彼女は
短編小説「モノクロの少女」
『モノクロの少女』
あれは今から半年程前の事だ。仕事終わりの僕は自宅でスマホを弄りながら、日課のネットサーフィンを嗜んでいた。SNSで話題になっている情報に目を通したり、よく見ている動画投稿者の新作をチェックしたりの巡礼作業。果たしてそれが自分への幸福価値に繋がる栄養になっているかと聞かれると些か口籠る物ではあるが…。まあしかし、これが僕の日常であり暮らしである事に違いは無い。それが内向的な
ショートストーリーをモノガタリ大賞にぶん投げ
・こちらの企画にショートストーリーを投げました。かつかつ1000文字でいっぱいいっぱい。
・ジャンルは何でも良いとの事なのでサイバネでぶん投げた。テーマに沿わして書くのって難しいね…
短編小説 「終わりの少女」
先生は言ってたんだ、良い子にしてたら私は此処から出る事が出来るって。
私は産まれてからこの世界しか知らない、一面真っ白な空間に小さなベッドだけ、そこで寝て起きての繰り返し。そして毎日検査室に行って先生とお話しをして、たまに身体の検査をちょこっとする、それだけが私の人生。
そんな日々だけど検査室に行って、先生とたわいの無い会話するのはとても楽しい。私は先生が好き、先生は私に多くの事を教えて
短編小説「架空妖怪談義」
ミーンミンミンミンミン
「うへー暑いよー」
旧校舎のとある一角にて間宮楓は机に項垂れて夏の暑さを享受していた。一方隣に座り淡々と本を読み進める黒羽美鈴は涼しげな顔をして、窓から入り込む風で十分だと言わんばかりの表情である。
ここは現在使用されていない旧校舎の一室であり、木造建築であり、クーラーなどという高級品は当然付いていない。目下この場所は女子高生3人組の秘密の溜まり場と称する無断の
【小説】廻る終に最後の2人
「里内明美はまだ高校生3年生であった。夢見る年頃から、朧げであった現実の切実さに気付き始め最近は何もやる気が起きなかった。」
私はふぅー、と溜息を吐きながら口からポコポコと吹き出る白い煙を見つめた。くだらない世の中の全てが煙みたいに霧散してぜーんぶ消えちゃえば良いのに、そう思いながら年頃には似合わないというかハッキリ言えばアウトな煙草を灰皿に押し込んだ。
『雨原小百合は大学中退の引きこもりであ
短編小説「生きてる」
自分の愚か過ぎる価値観に気づいたのは、余りにも遅く、しかしまだ十分過ぎるほどに挽回出来るのもまた事実だった。これもまた言い訳になるのだろうと思うが、人間一度形成され切ってしまった自我が価値観を大きく変えるのは無謀な挑戦だと思う。
明日から頑張るぞ、今日から頑張るぞ、も全く同じでこれを心に固く誓う人間の半数は結局の所、一時的に自分を鼓舞し安心を得たいという現実逃避なのだと思う。俺も当然、こ