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【第2日】ミルフィーユのような人生

時折、私は人生はミルフィーユのようだと感じる。何度も生まれ変わり、過去にやり残したことを新たな人生で紡いでいく。その層が重なり合い、深い味わいを生み出すように。

ふと、かつて自殺未遂をした日のことを思い出した。気がつくと、私は精神病院のベッドの上にいた。暴れていたため、手足を拘束されていた。目を開けると、母が静かに私を見守っていた。その瞳には深い悲しみと愛情が宿っていた。

ノーベル賞作家の大江健三郎さんも、同じようなことを語っている。病を乗り越えた彼は、「母がもう一度産んでくれた私」と「病が治った私」のどちらなのか分からないと。

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私は双極性障害を抱え、母は認知症を患っている。病が進むにつれ、私たちは現実を見失い、自分が誰であるかもわからなくなる。そんな私たちは、まる…

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