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エッセイ

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日常の些事
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#日記

えがたい男友達

えがたい男友達

何をどう足掻いたって女という生き物である私は、男という生き物と本当の意味で仲良くなる場合、大方は部屋のコンセントが、PCの配線がぐちゃぐちゃで、床には埃が溜まっていて、本棚には雑然としたよくわからない漫画が突っ込まれている必要があると思う。
マンションのフロントオートロックは少し親しくなった友人ならば大抵解錠番号を知っていて、もはや意味をなしていない。開けっぱなしの玄関ドアは信じられないくらい無防

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元恋人と、私を初めて組み敷いた人についての思い出

毎週顔を出していた二丁目も随分と疎遠になった。ワイワイと賑わう人が眩しかった鳥居も、ハロウィン時期限定のパフェが楽しみだったココロカフェも、店子さん仲間とお通しを買いに走った100円ローソンも、最後にいつ行ったのか思い出せないくらい、記憶が遠い。
レズビアンバーの空気は、薄いオレンジの甘ったるい靄が常にかかっているようだ。誰も彼もが上気していて、歩き方がふわふわしている。ここに来る人はきっと、甘い

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2023/09/19

18:30から夜間の学校で授業が始まる。
お昼ごろには余裕をぶっこいてコーヒーを飲んでたくせに、終わりごろになると見つかる締切がやばいタスクを取り敢えずTODOリストに突っ込んで。明日の仕事に後ろ髪をひかれながら、足早に学校に向かう。原宿と渋谷の間。

決めてるわけじゃないのに何となく、行く時は原宿駅からになりがちだ。決まった時間に間に合うよう目的地に向かうのが苦手(苦手なわけじゃなくて怠惰なだけ

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2023/09/26

1998年の8月生まれ25歳の私は、3回くらい上司に嫌味を言われながらフルリモートに移行した私は、考えすぎですっかりシワシワになった脳みそを隠すように、2回、髪の毛をブリーチした。色を抜いた前髪は長くてもあんまりうっとおしくない。文字通り、目の前をサラサラと横切る髪の毛が、私の世界だけ不透明度20%のきいろいレイヤーを重ねる。

私と同じく25歳の恋人の寝息を聞いた回数は、きっとリアルに800回く

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