Miroを使ったワークショップ - オンラインを前提とした複数の人とアイデアを効率的に探索する方法
オンラインを前提とした複数の人とアイデアを効率的に探索する方法、リモートワーク前提のプロジェクトワークでは特に需要があるだろうと試行錯誤を2年ほど前から繰り返しておりました。
当初はGoogleスライドやGoogleスプレッドシートを中心に、さらにSlackで進めるためにテキストのみでアイデアを伝え洗練する方法を模索していました。ですが思い描くイメージとの乖離が大きい。
しかし最近miroを本格的に使い始め、さらに「Miroでカンファレンス会場をつくろうプロジェクト」を開始した結果、朧気ながら描いているゴールのイメージに近くなった気がしています。これはよいタイミングと最初から最後までのフレームワークを一気に整理したのが本noteとなります。(締め切り効果で書き上げる作戦)
といってもまだまだ荒削り。α版にも行かない程度の完成度。
ですがこの段階で公開することで
・様々な人との対話が進む(ことを期待している)。
・願わくば実戦投入の機会をより多く得られる(ことを期待している)。
つまりは早く洗練が進んでいくのでは?と企んでいます。
実践こそ最高の学びの機会ですからね。
オンラインを前提とした複数の人とアイデアを効率的に探索する方法の全体像
想定イメージは、課題解決やつくりたい世界、達成した目標などのテーマを決め、それを実現するためのアイデアを複数の人とのコラボを通して洗練させていくためのプログラムです。
プログラムは3つのフェーズで構成。
個人でじっくり考えるフェーズ
アイデアの解像度を上げるフェーズ
アイデアを洗練させるフェーズ
1. 個人でじっくり考えるフェーズ
ここでの重要なポイントは事前にアイデアを考える。個人でじっくりと一人で考える。そして宿題をやらない人は参加できないと言うルールを入れます。
タイトルはアイデアを一言で表現
このアイデアを一言で表現することは非常に重要です。
多くても40文字程度です。
理由は以下の3つ
アイデアの要素を絞り込む効果が生まれる、何が大事なのかを自分で考えることができる。
アイデアの全体像の理解を助ける。
自分と他の参加者のアイデアを比較するときの整理の手助けになる。
さらに1つのアイデアに対しての以下の要素をテキストで考えてもらいます
各項目は200〜400文字程度にします。
アイデアの概要
何が問題か?何を解決したいのか?テーマから自分ならではの深掘り
そう思った理由や背景、制約条件は何か?難しければ近いサービス事例や個人的なものでもOK
あとは基本情報
名前
連絡手段(メールやメッセンジャー)
自己紹介(所属やSNSのURL)
これをGoogleフォームでファシリテーター(運営担当)に送ります。
ファシリテーターが受け取り情報に不足が無ければ参加受付完了。
※複数のアイデアがある場合は、その数だけGoogleフォームでファシリテーターに送ります。
2. アイデアの解像度を上げるフェーズ
miroの準備
締め切りが来たら、集まったアイデアをファシリテーターがmiroに貼り付けていきます。
似たようなアイデアはなるべく近くに貼り付けていきます。
整理が難しいと思ったら受付順か名前順に並べます。
この部分は動かない様に固定(ロック)しておきます。
参加者の付箋の色も決めておきます。
人数が多く付箋の色が足らない場合はTAGを使います。
miroに今回のテーマや主催者情報、今後のスケジュールなどを整えて準備完了。
参加者へmiroのURLを編集可能な状態で共有
共有方法はまずFacebookメッセンジャーグループを作ってそこに投稿するのが楽です。
参加者はmiroで全員のアイデアを確認し、気になる部分に自由に自分の付箋を使って貼っていきます。非同期コミュニケーションです。参加者全員がアイデアを提出しているので、初めから極めてフラットな状態が保たれやすく、また自己紹介を充実させることで付箋を書く敷居を下げていきます。
3. アイデアを洗練させるフェーズ
miroのキャンパスに多数のアイデアと付箋が貼られた状態になります。
コメント機能は視認性が悪くなるのでなるべく使わない様にしたほうが良いのではないか?書くことは付箋だけにした方が良いのではないか?と今は結論付けていますが、これは私が上手く使えていないだけなので悩み中。
・テキストコミュニケーションに慣れた人の集団なら使うのはありか。
・時と場合によるので、とりあえず自由とするのがよいか。
zoomなどを用いて同期コミュニケーションを開催
各自が順番にピッチを行います。ここで非同期コミュニケーションでは足らない部分を補完、さらに全員のアイデアを聴くことで、自分のアイデアに足らない部分など様々な気付きが得られることを想定しています。
途中で新しいアイデアを思いついて変えたくなったり、他のアイデアに便乗したりしたくなる人も多いだろうけど、最初のアイデアは固定(ロック)しておくので変更できない。新しいアイデアが浮かんだら自分で付箋を用いて横に書いておく。
本ワークは「アイデアを効率的に探索する方法」で、最高のアイデアを皆で考えたり、投票などで1位を決めたりするものではないのです。過程が大事なのです。
アイデアに対するメタ認知
1つのテーマに対して一人一人が必ずアイデアを持ち寄る。
非同期コミュニケーションの期間に、全員のアイデアを確認、質問事項や疑問点など付箋に貼って残しておく。
zoomなどの同期コミュニケーションの時間で、全員がピッチそして直接の質疑応答。
それぞれのアイデアの比較、同じ部分、違う部分、取り入れたい部分などを自分のアイデアを起点に各自が考え、テーマに対する解像度が向上し、アイデアが洗練されていく。
つまりは「アイデアに対するメタ認知」を利用、バイアス・思考のゆがみを極力無くしていく手法なのです。
4.最後はファシリテーターがmiroを整えて終了
同期コミュニケーション終了後に、時間をとってmiroを整える作業を行います。これが結構重要、かなり地味な作業で、なおかつ参加メンバー視点では終了したワークショップなのでただの後処理。はっきり言って面倒です。
ですがやりましょう。進め方はディスカッションで使ったmiroは残し、複製したmiroで作業すると良いです。
やることは、
付箋の一つ一つを最初にチェックします。
具体と抽象の視点で整理してみます。付箋の色を変えるのもよい。
特に大事な付箋の色を変える。後で不要な付箋は消す。
必要と感じたら文章やトーンを整える。
レイアウトやフォントサイズも整える。
自分の振り返りを記載する。気になったところだけでOK。
miroのフレーム機能を使って1アイデア1フレームにまとめる。
PDFへ書き出しておくと、今後の整理のとき便利です。
この作業は参加者との対話の時間です。しかも自分の視点も入れて。これを行うことで非常に沢山のことが吸収できます。ファシリテーターの特権ですね。
5. Tips(成功確率を上げるポイント、その他)
テーマはなるべく細かく、絞り込む
皆が同じテーマでアイデアを考えると、それぞれの比較がしやすくなります。
社会的な視点など共通の課題の特定もしやすくなるため、アイデアが洗練しやすくなります。
参加者が全員同じテーマのアイデアを考えて来ているので、仲間・ライバル意識など良い状態をつくりやすい。
結果心理的安全性も高い状態になりやすい。
人数は少ない方が良い(かもしれない)
全員が話せる状態を考えるとファシリテーターも入れて5〜6人かと思っています。多くて10人程度までかな。
クローズで招待制で開催も良い
完全招待制でテーマに相応しい人を一人一人呼ぶのも良い。
全行程に時間をかけすぎない
金曜日の夜にテーマを公開する。
週末を挟んで火曜夜に22時位に締め切り、ファシリテーターがmiroに貼り付ける。
参加者へmiroのURLを公開、参加者のメッセンジャーグループを用意しておくのもよい。
水曜〜金曜の18時まで、各自miro上で皆のアイデアを確認、付箋ワークの開始。
金曜日の夜、19時位に集まってZOOMでディスカッション、各自順番で発表+質疑応答で5分程度、一巡したら雑談、合計60分〜90程度を想定。
週末にファシリテーターがじっくりmiroを整理。
これくらいのスピードが良い気がしています。
連絡用のメッセンジャーグループはそのまま置いておく
連絡用のメッセンジャーグループはそのまま放置が良いです。頑張って運用はしなくてもよいです。面倒なので。あとクローズも必要ないです。
コミュニティにしようとすると多分上手くいかないです。基本的に同質な人の集まりなので盛り上がるネタの提供を継続的に行うのは難しい。刺激が少ないのです。ゆえにコミュニティの継続が難しい。
同質な人の集まりなので、経験上飲み会をたまにやる仲間くらいが丁度よいです。
数年後に「元気?」と投稿する楽しみもあります。
近しいテーマを行うときに参加を促したりにも有効です。
最後に私のこと
私はプロジェクトデザイナーを名乗っています。
役割はプロジェクト最初の課題は関係者間で"様々なズレ"があること。これを2つのデザイン側面(設計のDESIGN、意匠のdesign)から整理し「共創の景色」を描くことで解決すること。(プロジェクトデザイナーをCTO、UXデザイナーに並ぶ位のメジャーな職種にしたいって企んでいます。)
基本スキルはプランナーなのでこちらも是非
そんなプロジェクトデザイナーの最近のお気に入りツールは”Miro”。デザインツールと近い感覚で使えるのが心地よい。この”Miro”で様々な「共創」のデザインを作り出していきたいと考えています。
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