【プロフィール】名前:メメリ 年齢:14歳前後(肉体年齢、精神年齢は20代前半) 身長:140cm前後 体重:そこまで重くはないが、軽いとも言い難い。 所属:密葬係/災害対策係(詳細はクロムさんのnoteを参照) セキュリティランク:1 好きな食べ物:元居た世界の食部分が最悪すぎるので、環境課の食堂メニューはほとんど好物。意外と甘党。課員にお勧めされるものも大体好物になる。 嫌いな食べ物:雑草、苦いもの、辛い食べ物 家族構成:父、母、姉(全員故人) 【パラメーター詳細】ST
数日前、暴動があった。強制介入があった。死闘があった。そして――見知った人が去った。 これまでに経験することもなかった、あまりにも激しすぎる災禍の物語。 それは、環境課を取り巻く環境だけでなく、そこに属する人々にも大きな影響を与えることとなった。 彼らによって刻み付けられた傷跡は、当分の間癒えることはないだろう。 半ば習慣となっている散策、漂ってくる死に瀕した臭いを探りながら看取るべき人々を探す旅。 しかし、今鼻を突くのは燃え落ちた建造物が撒き散らす焦げ臭さと全てが終わっ
環境課が何者かに襲撃されてから数日、庁舎内は目に見えて人が少なくなっていた。 ある者は自らが次の犠牲者となることを恐れて、ある者はその行く末に絶望を感じて、またある者は平穏な日常を永遠に奪われて――。 普段なら活気のある食堂も、ここしばらくは人影もまばらで。 私が座った周囲からも、誰の声も聞こえることはなかった。 つい数日前とほとんど変わらない食事に目を向けながら、私は彼女を思い出す。 ――円城寺椛、正体不明の襲撃者によりその命を奪われた犠牲者の一人。 彼女とはあまり
「昨日はお疲れ様でした、メメリちゃん」 「……お疲れ様です」 誰もいないバーの隅、目の前には綺麗に磨かれたグラスの中で揺蕩う、レモンイエローの水面。 テーブルはまるで鏡面のように私達を映し、あらゆる物が整えられた店内は私にとって場違い以外の何物でもなかった。 そんな居心地の悪さを少しだけ感じながら、私はその感覚を誤魔化すように置かれた林檎酒へと手を伸ばす。 頭に僅かな靄がかかったような感覚はいつぶりだろう。 だが、これ以上はとても身を任せる気になれなかった。 未だ伺い知
宙に浮ぶ幾何学模様や文字列、壁面を覆う映像達。 環境課の庁舎を一歩出れば、そこにはかつての私には想像もつかないような世界が広がっている。 見慣れた……とは言わないものの、当初よりは驚く回数も減っていた。 仕組みは解らずとも、あれらはそういう物なのだという浅い理解。 幸いにも、現状はそれで何とかなってはいる。 通りを歩けばちらほら見える鋼鉄製の手足。道行く人々は迷いなくどこかへと向かっている。 少しだけ感じる疎外感。 あまりにも人が多いと、それに酔ってしまいそうになる。
環境課庁舎、解体室の更に奥、光を避けるように薄暗い影の中に存在する一室――解剖検死室。 冷たく光る金属製の台に置かれた遺体を、私は見下ろしていた。 隣には、いつかと同じようにフローロさんが立っている。 「それでは始めましょうか」 「承知しました」 目の前の遺体がいったい誰なのか、私は知らない。 フローロさんならば知っているのだろうが、それを聞いたところで看取ることのできなかった無念が募るだけだ。 或いは、誰かに看取られて命を終えることが出来たのだろうか。それならば、幸い
銃弾と左耳用の小型通信機がセットになった、開発/整備係のリアムから与えられたメメリの使用する武器の一つ。 一見すると通常の銃弾のようだが、着弾と同時に相手の視神経をジャックし通信機を介してメメリの眼球状の肉腫が視る視界を強制的に押し付ける。 撃ち出すために用いられるデリンジャー自体は、多少リアムの手が加えられているものの特別な機能は持たない。 本来は非電脳課員同士でも視界を共有することで連携を強化するものとして作られていたが、その副産物として対象に視界を強制的に押し付け
Cp.1 Cp.2 Cp.3 Cp.4 Cp.5 Cp.6 次回作(未定)
昼時を過ぎ、柔らかな陽光が差し込む課長室。 いつものように課長室でちゅーるを舐める皇の目の前には、一枚の報告書と箱詰めの焼き菓子が置かれていた。 報告書には密葬係――No.966の名が記されていたが、それを書いた当の本人は皇と顔を合わせる前に姿を消している。 業務終了後のいつもの風景。 片手で報告書を取ると、掲げるようにして目を向ける。 記されているのは、非常に簡潔にまとめられた昨夜の戦闘のあらまし。 曰く、魔素充填剤の使用――一定の効果あり。 曰く、メメリの負傷――し
役目を終え、がらんどうの廃墟と化したビルの屋上。周囲から頭一つ抜け見渡すのに丁度いいポイントを、イオとAURORAは狙撃地点に選んでいた。 少女の小柄な身体には不釣り合いなほど長大な狙撃銃が、迸る銃火が、屋上の闇を一定のテンポで照らし出す。 スコープの先に映るのは、歪な角を頭上に戴く獣の姿。 完全に日の落ちた真夜中、しかし煌々と周囲を照らし出す月明かりのお陰か、引き金を引く指先には一切の淀みもない。 コンマ数秒前に足が置かれていた場所の地面が抉れ、掠める銃弾で角は火花を
庁舎内の長い廊下を右へ左へと歩きながら、二人はある部屋へと向かう。 昨夜の戦闘を通じて判明した事実は、少なくとも、何の対策も取らずに易々と処理できる相手ではないということ。 だからこそ、まずは対象を知り、その上で自分達にとって有利な状況を作り出さなければいけない。 扉が開き、二人を室内へと導く。 環境課の中でも四次元物理学について極めて高い知識を持ち、かつ密葬係の存在を知っている人物は限られている。 中では、特殊整備班――ヘレン・ミドルトンがコーヒーカップを片手に二人を待ち
災害対策係のIDをぶら下げ、少しだけ着慣れたスカートを揺らしながら庁舎の近くにある公園を歩く。 日中は密葬係の出番はない。昨夜の顛末をNo.966が報告した後は、新たな指示が出るまで束の間の休息を過ごしていた。 (昨夜のクロムさんの一撃……何故躱せたのでしょう、それも背後から) 昨日の戦闘を思い出しながら思案するものの、これといった答えは出ない。 自分には考察するための知識も経験も足りないことは承知とは言え、少々歯がゆさを感じてしまう。 (こればかりは、他の方々にお任せ
「お待たせいたしました、クロムさん」 「いえいえ、大丈夫ですよ」 環境課庁舎の一角、ひっそりと存在する狭い一室でNo.966とメメリは会話する。 外側は一見すればただの倉庫、しかし密葬係とセキュリティレベル4以上の一部の課員のみを受け付ける認証扉の先は、密葬係が業務を始める前のプライベートルームとなっていた。 「さて……それでは今回の業務についてお話ししましょうか」 手元の端末に目をやりながら、No.966が語る。 「監視カメラに残されていた映像は不鮮明ですが、突然
ひんやりとした空気と静寂に満たされた深夜の郊外。 三日月が照らし出すそこには、粘る墨汁を垂らしたような濃い影の中、周囲の闇と同化するように身を隠す少女が一人。 「こちらメメリです。対象と思しき生物を視認いたしました」 月光に反射する薄金色の光。 視線の先の生物は、四つ足で地面を踏みしめる。頭部の高さはメメリの身長とほとんど変わらず、その体格の大きさが伺い知れる。 一見すると狼のようにも見えるその姿。しかしその頭部には、本来なら存在しないはずの歪な冠上の角が突き出ていた。
道行く人々は帰路につくのか、あるいは向かい始めたばかりなのか。 少しずつ日の傾き始めた夕暮れ前、普段なら個々人の距離を保っている人混みが、今日は一部にぽっかりと穴を空けていた。 黒い革製のコートで身体の大部分と口元を覆う少女、メメリ。 人並みから隔絶されながら、それを意に介さないような不変の歩調。 多様な人種、義体、姿の渦巻く通りであっても、病人は別だ。しかも、それが目に見える異常を伴った奇形であれば尚更に。 「ん?アイツは……」 まばらな人並みを乱すように近付く人
「あれっ、メメリさんお久しぶりです!」 「……レナさんでしたか、お疲れ様です」 レナと呼ばれた鹿角の少女が、目の前の少女――メメリに呼びかける。 口元までを覆う黒いコートに、左の顔にある肉腫。 環境課ではなかなか見ない珍しい服装だったのでよく覚えている。ただ、業務中の様子を見たことがなかったので、何の係かまでは思い出せなかった。 「以前にお会いした時と、少々服装が違うので気付きませんでした」 「分かりますか!? 実は新しいお洋服屋さんを見つけたんですけど、そこで買っ