消えかけの炎、紫煙を燻らせて
メビウスのオプションパープルの紫煙を燻らせる。
朝食を少し残して、吐き気止めを飲む。
いつも人の顔色をうかがって生きていた私は、いつのまにか自分の存在意義を見失っていました。
所詮わたしは誰かの代わりでしかなくて、都合のいい女でしかない、そんなことは物心がついたころから気がついていた。親には縁を切られ、友達にはみんなわたしの他にいちばんの友達がいて、その子と会えない時だけわたしのことを呼んで穴埋めをされる。私がいなくたって、世の中という意味でも、友達の中の「セカイ」という意味でも、世界は回るんだなって確信してしまって、まあ当たり前なんだけど。
冬の冷たい風が肌に触れる。
本当は生まれてきていなかったかもしれない、望まれて生まれてきたのかもわからないわたしの体はちゃんと生きてしまっているんだということをその触覚で痛感してしまって、気持ち悪い。
生きている実感がわかなくて、もう消えたいを超えて消えかかってきてしまっているみたいな感覚。本来なら存在していないはずなのに、わたしはここにいてしまって。
「生まれてこなければよかったのに」
母の言葉がフラッシュバックする。
私だってこんな思いをするくらいなら生まれてきたくなかったよ。
アームカットで腕を伝う血だけが輝いて見えた。
ハッピーエンドなんてどこにもないよ。
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