秋も末々。
三日坊主の僕がやはりこの日記を続けるのは少し難しかったようです。
気が滅入るような夏の暑さがまるで嘘のように寒くなってしまってある意味気が滅入ってしまいますね。
秋を通り越して冬に変わりつつある今。
冬に心が動くものはなんだろうって寒い風に晒された手を擦りながら朝方の街を歩いてみた。
日が短くなって朝が顔を出すのも遅くなった。まるで夜のようなその暗闇の中、微かに遠くの方で白んでいる空が少し遠慮気味に朝を迎えようとしてる風にも見えて面白い。
この時点で既に冬という季節に心が少し躍っているのだが、まだ動いてはいない。いや、踊っているから動いているのかもしれないけど…。
始発の電車もまだ目を覚さない。目に入る人工的な光といえば街灯と耳につく機械の音を出す自動販売機。
ん?自動販売機?
そういえば、ひどく手が冷えていたなぁって。
上に羽織ったジャンパーのポケットに手を突っ込んでいたけれどそのちっぽけな暖かな世界と外の壮大な寒い世界では勝敗は明白だったから、もちろん。手は冷たい。
誘われるように、自然と足が自動販売機の方へ向いた。
昔からあるラインナップ。ポケットに忍ばせておいた心許ない小銭をかじかむ手で不器用に全部突っ込んだ。
230円。はてさて何を買おうか、なんて。
こんなに冷え切った世の中、自動販売機も冬支度をしていてくれていたようであったか〜い(笑)飲み物が肩を並べている。
カフェオレ、ココア、ホットレモン…どれも美味しそうだし、冬の温かい飲み物三大巨頭。
夏といえば、と考えた。
僕は夏は結構炭酸飲料を飲みがちだ。暑い日は特に。
けれどドロリとした飲み物は好まないなぁ。って。
熱を逃さない甘くて緩い飲み物は冬は好まれるなぁ!ってプチ推理をするまでに至ってしまった。
あまり長く迷っていたら自動販売機が「チッ。何も買わないのかよ。」なんて言わんばかりに入れたお金を戻してきた。
僕のプチ推理が正しいことを願って120円を投じて買ったのはホットココア。
温めすぎたようなその缶の熱さに両手で持ち替えながら自動販売機のすぐ近くに腰掛けた。
蓋を開けて一口飲んでその安心する甘さに満足したらこれまたポケットに忍ばせておいた煙草に火をつける。
燻らせる紫煙が薄暗い空に雲のように広がっていった。
ん?これは、煙?それとも白い息?区別がつかないなぁって。
ココアを飲み終わるまでその場にいた。
特に掴めたものはなかった。けれど冬に対する満足感、多幸感…そんなものはなんとなく感じられた気がした。
これを歌にするにはまだ少し僕の想像力との戦いなんだけれど、冬が足踏みを始めた今の季節、今しか感じられない季節は大きな影響力があった気がする。
僕はこの季節が好き。それは断言できそう。
何事も始まりが肝心、なんてよく言ったものでさ。
出だしで良いことがあったらこの先も良いことが続きそうな気がする。気がするってのが大事なのかも。
それは他愛無いちょっとしたことで良いんだと思う。
僕は冬のスタートをうまく切れた気がした。
あと、こたつも出すことにした。ストーブもね。
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