【詩】 春の目覚め
うっすら開いたまぶた
目に映るのは優しい日の光
まだ眠気が体を包み
ベッドにふんわり溶け込んでいた
扉をノックする 楽しげな風の音色
つま先をそっとベッドの外に出してみる
冷たい空気が 指を突き刺すことはもうない
窓から差込む日差がすでに眩しくて
時計をおもむろに引き寄せた
気だるさを覚えながら
ベッドを抜け出し窓をあければ
首をかしげて私を見つめるトカゲの子
生暖かい春の風が
芝生の匂いを運んできた
キッチンに向かうタイルの床
今は素足にちょっぴり気持ちがいい
目覚めのコーヒー片手に
途中まで描いた絵の前に座り
赤やピンクや橙の絵の具を
勢い良くキャンバスに塗り入れる
隣の家から流れてくる
心地よいボサノバのリズム
重なる暖色の旋律と
柔らかな風の饗宴に心は踊り
深く眠っていた生命の源に
新しい息吹の光が差し込んだ
血液は体を駆け巡り
体は徐々にほてり始め
懐かしい感覚が心を捉えて
胸の鼓動を激しく高ならせた
この感覚には覚えが。。。
外に飛び出す季節がやってきた
以前住んでいたクイーンズランド州にあるブリスベンに春がやってきた時の様子を描いた詩です。
ブリスベンとメルボルンでは気候が全く違います。ブリスベンの方が春が来るのも早いですし、いつも風が生暖かいのです。一方メルボルンは自然界に春が来ても気温的には朝晩寒くヒーターが必要ですし、トカゲの子供達をあまり見かけません。この詩は私がブリスベンで生活していた頃の一コマで、この詩を読む度に、あの頃の記憶が蘇ってきます。