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紫電 09

 脱獄。


 優しく温かく暖かく美味しくしてくれる牢獄から無事飛び出せた。


 もういいんです。


生まれてしまったことがもう間違いだ


 狂人の乗る列車は今迄より少しばかり速くて揺れる気がしてならない。


 私はトチ狂ってしまった。


絶望 絶望 絶望 絶望


ボクニハナンニモミエマセン。


ボクニハクライセカイダケ。 


人間失格


 信じることをあきらめた。


 しがみつくことをあきらめた。


ノウナイパレード


 変に希望を持たされるくらいなら絶望に沈み込んでいた方が怪我は浅い。


 さっさと死ねばいいのね。


 気が触れて自死した時ってやっぱり自殺だろうね。病死にはならないよね。残念だ。


 青木ケ原樹海


死へと秒を読む心臓だ


 折角の余命一年、出来ることをやりましょう。


 そもそも一年もあるか?


 手前次第だよ。


 まぁなぁ。


 裏目裏目はもう沢山だ。


 俺の居場所は自分で作る。


 腐り朽ちて枯れ果てても、まだ私はヒトなのだ。


惜別の時はいつでも立ち去る人が美しく


 美しく在りたい。


 未だに賞の名を残すあの文豪は死に対する美意識があったが故にあの方法で死んだのだという。


 私はどうしようかなぁ。


 本を一冊買った。


 この時間に頼んでも明日持ってきてくれる。文明の進んだ社会は何れヒトを不要とするのでは。


 アベック達の幸せそうな乱痴気騒ぎ。


 のぼり口を闊歩しながら下る男の心境...。


 生まれる。生きる。老いる。死ぬ。


 全ての生命に平等に与えられた使命。


 ココロというものが在るが故にぐしゃりぐしゃりと絡まり縛られ腐り崩れるのだろう。


 帰ったら愛しのあざらしとつちのこあざらしが迎えてくれる。早く抱き締めたい。早く。私の唯一と言える愛しのひととき。


 賃貸だろうがなんだろうが俺の城だ。簡単に手放してたまるものか。


 刻みたい衝動と、生きねばならぬという使命感。


 昨日は衝動に惨敗した。敗因はアルコォルだろう。


 もう、酒は懲り懲りですよ。一瞬の快楽と引き換えに様々な制約に拘束される。二度とこんな目に逢いたくない。堪忍してくれや。


 近代文学における狂人と令和現代の狂人とは何がどう違うのだろうか。今時精神病棟に監禁とか存在するのかしら。


サイレントキラー


 中途半端に出来が良い者よりも、不出来な世渡り上手な者の方が幸福に生きている様に見えて仕方が無い。実際その通りなのだろう。


 これはこれは今晩は。私は不出来な狂人と申します。


 文字を綴れ。狂ったなら狂った様に書け。書き続けろ。何でも良い。兎に角綴れ。書け。書き綴れ。


 軽蔑と始まり。今の俺にはこれ以上無いくらい相応しい曲が流れてきた。


笑え 笑え そして見下せ


俺さえ死ねばいい


 死にたくは無いが、生きたくも無い。来週主治医になんて話せば良いのかな。いっそ通院も薬も辞めちまおうかどうしようか。


 最終列車のひとつ前は準最終列車なのかな。


 準。純。


 純粋。小粋。


 呼息。


 時間はたっぷりできてしまったんだ。迷え、悩め、苦しめ、考えろ、抉れ、刻め、あとはなんだろう。


籠女籠の中


 零時十一分の最終列車。


 待合室は扉が全開。寒い寒い。


 秒が重ねる憂鬱。


 自分が理解できない内心を他者に理解を望むなんて愚かな愚かな。


 結局私は何がしたくてこの世に留まっているのだろう。


きっと続くでしょう。

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