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紫電 03
相変わらず名前は決まらない。
名前が欲しい。
誰が聞いても知っているような、大きな名前が欲しい。
しかし、名前を売るようなことはしたくない。
どうすればいい?
実力で惹き付けるより他に無し。
何かを成し遂げずして、大名は手には入らぬ。
承知の上。
成し遂げるには、どうすれば良い?
持っている武器を全て使って何とかしてみせよ。
貴様の右手は武士、左手は博徒。右手に刀を、左手に賽を持っている。
命を投げ出すなぞ、以ての外。
この命をもぎ取ろうとする病さえも、武器にしてみせる。誰もが得られるものではないからな。
あと十と六日で何かを残し、あと十と三月でそれを表明する。それが貴様の求めるものを得る術であろう。
純銀の記憶。素敵な歌だ。
途切れ途切れの思いと空虚。
落陽。
夜は苦しいが、その苦鬱から生まれるそれが武器となろう。負けるなよ。
冬ももうすぐ終わる。春を告げる突風はいつ頃吹くだろうか。
その突風が、私の濁った諸々を拭いてくれると有難いなぁ。
世界に忘れられないように、残す記録。
多分続く。