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紫電 07

風呂に浸かりながら垂れ流す。


 今日もアヒルさんは可愛い。さっき滝行になっちゃったから助けてあげた。


 ぴぃ、ぷぅ。


 午前二時の月はそれはそれは幻想的であった。朧雲の裏から全てを惹き込むような魅を感じた。


 その月の前に佇む一時停止の標識。以前この標識を守らず飛び込んだ車に配達のバイクが撥ねられたらしい。


 こんなにライトアップされた標識なのに。


 標識の先にあるコインランドリー。DyDo自販機が近場にあると良いね。


 コインランドリーも数年前はよく使ったものだ。中肉中背の男がゲームボーイか何かをやっていたな。


 刺激的な香りを放ちながら。私は同じ空間に居られず灰皿を持って外で終わる時を今か今かと待っていたっけ。


 懐かしい記憶だ。愛し合っていた頃の、まだ潤いがたっぷり残っていた頃だ。


 忙しさにかまけたのと、少しずつ当たり前みたいになっていった。


 「世の中カネが全てか否か」論争。


 カネじゃ買えない友情信頼愛情も存在するだろう。


 然しカネの問題で消えた愛情を経験したことは事実。


 本気で相手を思うなら半無尽蔵にカネを渡して相手の活動を応援してやればそいつは成功するだろう。それが出来ないから、結局世の中はカネだよ。


 昨日アニキと酒を交えて語り合った。


 私は解答を用意出来ない。


 この問に関しては、きっと空欄で提出する。


 おいおい、教え子には「空欄は無しね!当てずっぽうでもいいから何か書くんだよ!」なんて大口叩いてたのに。


 それでも、である。この問に答えを用意した所で、二転三転するのが目に見えている。


 故に、空白で提出する。


 blank.


 ひと月半の、blank。


 次にへし折れたら、恐らく未来永劫この職から離れる事になるだろうね。


 殺されるまで、死んではならぬ。何度でも言うぞ。殺されるまで、死んではならぬ。


 兎にも角にも生活を見直せ。世の中の九十九はカネだよカネ。


 喜怒哀楽の内、怒と哀が九十九を占める様にね。


 喜楽は世界の一に過ぎぬが、それ故に幻想的な月が如くきらきらと、きらりきらりと輝く様に。


Twinkle
 Twinkle
  Little
   Star.


How I wonder
What you are.


Up above the world so high.
Like a diamond in the sky.


                  Twinkle
                   Twinkle
                    Little
                     Star.


How I wonder
What you are.


 音と波に乗ってアヒルさんがふわふわ泳ぐ。


 風呂も温くなってきた。逆上せそうだ。


 ぼちぼち出ようか、温もりを抜けて、肌寒い部屋へ。


風呂の栓を抜くぞ。大渦巻だ。


多分続く。

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