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「あのこは貴族。」で終わりたくない

「あのこは貴族」という名前の映画が公開されたらしい。

内容は読んだことがないが、そのタイトルを聞いて思い出したことがある。

それは、10年以上も前の大学進学で感じたこと。
「地方と都会では絶対的に教育や教養の格差がある。この世の中を変えるには世の中を知り、学を得るしかない」ということである。

人生の転機

私は田舎でのんびりと育った。

どのくらいの田舎かというと、電車は1時間~2時間に1本しか来ない。
最寄り駅までは自転車で30分以上、歩いたら1時間半~2時間かかる。
小学生時代は道端に生えている花の蜜を食べながら帰ったし、野良犬に追いかけられて背中を噛まれたこともある。

そんな世界で育ったから、テレビに映る東京の景色はなんだか現実味がなく、ニセモノにさえ思えた。

こんな環境で晩年まで生きていくのだと思っていたところに、時は来た。
田舎大学に進学しようとしたところ、うっかり合格を逃してしまったのだ。私立に行くわけにはいかない、そんな金はない…そこから色々試行錯誤はしたが、結局奨学金を手に3畳一間の部屋を借り、東京の私大に行くことになったのである。


18歳で出会った衝撃

大学で感じた衝撃的な事実は、「世の中には貴族がいる」ということである。
どういうことかというと、「ブランド物バッグをブランド物と知らずに持ち歩いている18歳」「誕生日に車をプレゼントされる18歳」などが同級生でいたのだ。

当時私が大事にしていたブランドもの、それはバーバリーの3000円の大判ハンカチーフ。(お年玉で購入したものをお弁当包みとして使用していた)
でも友人は、同じバーバリーの5万円~10万円はするであろうバッグをバーバリーと知らずに使用していた。「親からもらった」と言って…。
私が運転免許の資金をアルバイトでせっせと貯めていた頃、友人は「運転免許取得のお祝いに新車買ってもらった~」と喜んでいた。
幼少のころにさかのぼればもっと顕著だ。私は小学校中学年で、習い事をピアノ(※ピアノを買うとは言っていない)かそろばんか選んだ。友人は幼稚園に入る前のころからエレクトーンやバイオリンや水泳など、教養に触れる機会をあたえられていた。

これが格差なのだ。


「「あのこは貴族で、わたしは農民。」」


でも悲しいかな、幼少期~高校生くらいまでは似たような環境の友人たちと同じ学校に通うことが多いのでこの格差に全く気付かない。(田舎の裕福民も私立に行くしね)
世の中のたいていの人は自分と同じ生活環境の中で暮らしていると思い込んでしまうのである。

でもこんなのおかしい。
家柄や環境で不平等が生まれるのは100歩譲って仕方ないと飲み込もう。
資本主義の中では当たり前のことでもあるかもしれない。
ただこの格差に気づく機会を与えられなかったり、自分で是正する能力を身に付けられなかったりする世の中ではいけない。
所得が再生産されてはいけないし、教養だって同等だ。
農民が農民以外の道を切り開くには、どうすればいいのか。


「あのこは貴族。」で終わりたくないなら、学を身に付けよ

格差を是正するには、やはり学を身に付けるしかないのではないかと思う。
そして世の中のことを知ることが大事だ。

「私、農民かも」という中~大学生がいれば伝えたい。
高校までの基本的な学習は疎かにせず、貧乏でも、塾に行けなくても、学校をフル活用して学を身に付け奨学金で都会に出る。
都会のことがわかったら、大学ではアルバイトなどで旅費を貯め、世界に飛び出し今度は広く世の中を知る。
知らないものを想像することはできないから、どんな人がどんな生活をしているのか、日本と世界はどう違うのか、目を凝らしてよーーく見る。
このころには、農民マインドは無くなっているのではないかなと思う。
貴族まではいかずとも、ワープアにならずに自立して生活するだけの基盤を作るにはどうすれば良いのかがイメージできるはずだ。


そして1点、様々な理由で大学には進学しない場合。起業するならまだしも、高卒で工場などに単なる労働力として就職するのは辞めた方が良いと思う。知識と経験が足りないから、低賃金で使い捨てられかねない。就職するなら脳みそを鍛えられる総合職や、営業が良いと思う。そして、日々大学の代わりに本などで知識を吸収する。で、ある程度能力や学が身についたところでワーホリなどに出るのがいいのではないかと思う。私は地方で悲しい現実を見てきたから伝えたい。

知識と経験があれば、目の前のことをどう解決するか考えることができる。
農民の子は農民にならないといけないわけじゃない。
この、「学を身に付ける」ということだけが、数少ない格差是正、、「下剋上ができる条件」なのである。

ここまで書いてきたが、田舎の自然環境自体は私は好きだし、年を取ってすみたいのは田舎である。
ただ将来的に、地方と都会の格差が無くなり(教養や収入面の)、子どもが早いうちから自分で好きな人生を選択していける世の中になればいいのになと思う。誰かを見て、「あのこは貴族、私は農民。」と落胆する子どもたちが減りますように。


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