
おかげ星人は、いつも誰かをこっそり後押ししてる
私には、とても尊敬しているウルトラハイパーな友人がいる。
組織開発コンサルタントをしている彼が教員を辞め、独立したのは数年前のこと。まだまだ駆け出し……と思いきやどっこい。すでに全国から引っ張りだこ。彼の予定を確保するのがもはや難しい。
彼は、自分ではFacebookにほとんど投稿しない。のにも関わらず、タイムラインにたびたび姿を表す。よく見てみると、そのほとんど全部が友人によるタグづけ投稿。普通だったら毎年誕生日のコメントだけがちょこちょこ集まる閑散としたものになりそうなところ、彼のタイムラインはいつも、誰かと楽しそうに映る写真でいっぱいになっている。
「おお、なにやらまた大活躍してる」
それこそSNSでの告知もゼロ。ウェブで検索しても情報があまり見つからないような人なのに、口コミだけで彼のカレンダーは埋まりまくっている。連絡するたびに今日はどこにいるの?と聞いてみると、「今日はねえ、東京から広島にきていて、仕事終わったら大阪に移動するよ!」などと言っている。彼はそろそろ、貯まったマイルで家族で地球一周できるんじゃなかろうか。それも大袈裟ではない気がする。
どうやったらそんなことに?
・・・・・・・・・
「この人のおかげで今の私がある」
人は誰しも、人生の中でそう思える人に出会ってきていると思う。高校時代の恩師だったり、自分が仕事でうまくいかなかった時に相談に乗ってくれた先輩だったりするだろう。あこがれのママ友かもしれないし、今のパートナーかもしれない。
大体の場合は、人生を大きく変えるような恩を感じる出会いとなると数人くらいのものだと思うのだが、これが、この友人は常に映画のエンドロール並みに大量発生している。
そんな彼に、
「もし自分の本ができたら、お礼を言いたい人はどのくらいいる?」
などと聞いてみる。すると、こんな答えが返ってくる。
「いやもうまず明夢さんだよ。本当に明夢さんがいなかったら今の僕はないもん。マジで感謝してる。ありがとう」
これなのだ。これが彼のすごいところだ。彼はこうやってまずいつも、彼の活躍がまるで本当にわたしのおかげかのように全力で感謝の言葉を届けてくれる。モチのロン、全部、彼自身の努力のたまもの。あるいは、彼自身と彼を支えているすべての素敵なみなさまによるものである。なのに、いつも彼は自分の功績を、目の前にいる「あなたのおかげ」にしてしまう。彼はそんな "おかげ星" から地球にやってきた "おかげ星人" なのである。
いいアイディアを引き出したら、
「それ、めっちゃいいアイディアじゃん!僕じゃ思いつかなかったな〜〜⚫︎⚫︎のおかげで、このイベントめっちゃ面白くなるわ〜」
と言い、
あちこち全国飛び回ってすごいね!と言えば、
「ぽんこつすぎる僕のために、いつもホテルやチケットの手配してくれる仲間のおかげで、やるべきことだけに集中できるんだよ〜本当に助かる」
と言うし、
ワークショップで大きな成果が上がったと思えば、
「マジで参加してくれた人たちみんな一人一人がめっちゃ前向きに参加してくださったおかげ。僕はなにもしてないんだよ。彼ら自身がすごいんだよ」
と言う。
"おかげ星人" の彼は、何一つ成果を自分のものにしようとはしない。
ともすると全てを周囲の人たちに帰属させようとする。結果、彼がいるだけで、その周囲にいる人たちの自己効力感は爆上がりしていく。彼が何か頑張れば頑張るほど、周囲の人たちが、彼に感謝するだけではなく、自分をも好きになっていってしまう。
その "おかげ" か、彼の周りには、彼に手を貸したくて仕方がない人や、彼のことが好きで仕方がない人、彼だからこそ頼りたくなっちゃう人、彼と一緒にいることを自慢したくなっちゃう人が、次々と集まってくる。その結果が、冒頭で話した彼のFacebookのタイムラインを生み出している。
思えば、同じように "おかげ星" に住む人は、いつもたくさんの仲間に囲まれているよなあと思い出す。そりゃそうだ。誰だってこんな人がいたら隣にいたい。私がついつい、何か仕事でいいことがあると彼に報告したくなってしまうように、おかげ星人の周りには、自然と人が集まってきてしまうのだ。
無理もない。自分の価値を認め、言葉にしてくれる人と一緒にいたいに決まってる。
・・・・・・・・・
さらに、"おかげ星" の住人は、ご縁に恵まれる。これはどうやら科学的にも確からしいことを、中野信子さんの『科学がつきとめた「運のいい人」』を読んでいて確信した。
⚫︎運のいい人は他人と「共に生きること」をめざす
ー運のいい人は他者を思いやる
ー運のいい人はひとり勝ちをしようとしない
ー運のいい人は利他的行動をとる
ー運のいい人は短所には寛容になって長所をほめる
ー運のいい人はだれかを助けたときこそ「ありがとう」を言う
おかげ星人じゃん。
おかげ星人のことじゃん。
本当に彼のあり方には頭が下がりすぎて、地面に減り込みそうだ。
・・・・・・・・・
そんなおかげ星人の友人の初の書籍が本日発売された。
それはこちら、『研修リデザイン』大野大輔著。
そう、おかげ星人はその力をこれでもかとフル稼働させ、彼のテーマである「全国の学校を今日が楽しく、明日が待たれる場にする」のためび突っ走り、周りを輝かせまくってきた。気がつけば彼は年間200校あまりを訪ねて回っては、自分はあくまで伴走者のまま、「自発的かつ自走する改革ムーブメント」を全国に起こしまくってきた、その知見をギュギュッと一冊にまとめた秘伝の書なのである。
この本は研修本でありながら、人の可能性を信じ、協働と変化を促していく、彼の「おかげ星人」としてのあり方の秘密もたっぷり含まれている。
私も彼のように、一緒にいるだけで誰かをエンカレッジできてしまうような、そんな生き方がしてみたい。
この本でも学びつつ、今後もこの「おかげ星人」の観察を続けることにしようと思う。
※PR記事にも見えつつ、元々下書きに書いていて眠っていたこの友人についてのnoteを、出版の噂を聞きあわてて書き上げたおめでとうnoteである。大ちゃん、本当におめでとう!