見出し画像

最後の、極上カプチーノ

”朝の行きつけカフェ”がある。家から徒歩1分、角っこにあり、近所の人たちが集まる、飾らない「地元のカフェ」

画像1

週に3回以上、ほぼ毎日行くようなときもある。

なぜこんなに行くのか。このカフェが好きな理由はたくさんあって、会社ブログにもルーティン話と共に色々書いたことがあるのでお時間あれば覗いてみてね。

会社ブログ:スイッチの場所がわかるかも?
やる気スイッチを入れるおまじない

このカフェにはモチベーションを上げに、そして美味しいコーヒーを飲みに行っている。

このカフェには格別おいしいカプチーノを淹れてくれるクリスというバリスタがいる。

今まで色んなお店で沢山のカプチーノをオーダーしてきたけれど、彼が作るのが一番美味しい。

画像3

同じ豆・マシンを使っていても、淹れる人によって味や質が変わるというのはクリスと他の人が作ったコーヒーを飲み比べるようになって改めて分かった。

厚さのあるフォーム(泡)はしっかりしててクリーミー、その下のコーヒーの温度も絶妙で、ミルクの甘味がちゃんと感じられる。

そして美しいラテアートと、たっぷりめの仕上げのココアが好み。そして時間がたってもフォームは崩れず、冷めてもおいしい。

一口飲んだ瞬間、身体中で「ほっ」とする。

なかなかこの「ほっ」は他に変えがたい感覚で、朝暑かろうが寒かろうが、ちょっと眠かろうが、この「ほっ」を感じたいがためにこのカフェに来れる。

朝が格段にスペシャルになるから、クリスを店先で確認するとラッキー!といつも思ってた。


画像4

‥私はこのカフェで、だいたいいつも同じ席に着き、いつも書いたり読んだりPCに向かったり、2時間位何かしらしてる。いつも色々欲張って持ってき過ぎである。

何かしらしながら彼のカプチーノを飲み続け、2年が経つ。

彼は寡黙で一見ムスッとしてるように見えるので、最初は全くしゃべらなかったし、名前も一年以上知らなかった。

でもよくお店に行くようになって、顔を出すと”おはよう、カプチーノでいい?”っておいしいカプチーノを持ってきてくれるようになった。

画像5

だんだんにっこりしてくれることが増えて、私の名前を覚えてくれたり(何故かメイではなく、Ms.コバヤシと呼ばれているw)少し会話するようになった。

怖そうに見えて、実は犬や子供を見る時の顔がすごく柔らかくなるのを知ったり…

店が暇な時はクリスもテラス席に座って何かしている。特に話さないけど、2年間共通の空間に長く一緒にいた気がする。

画像2

※お店が暇で休憩中のご様子


そしていつの間にか、朝クリスに会うとホーム感を感じるというか、ほっとするようになった。

勝手かもしれないけど、朝私が色々やってるのをず〜っと見守ってくれていた気さえする。


晴れでも雨でも、風がある日も

夏がだんだん終わって冬になり、季節が変わってまた夏がきて。


言葉にはなかなか言い表わせないんだけれど、2年間の中で徐々に徐々に、言葉以外の色んなことで優しい彼を知った。

今朝クリスがいつものように、スペシャル「ほっ」のカプチーノをサーブしてくれてしばらくした後、めずらしく改まった様子でやって来た。

画像6

「Ms.コバヤシに伝えなければいけないことがある。」

「あら、なーに。」

「実は明日で僕はここのカフェ最後なんだ。」

「え!!!!何で!?ほんとに!?」

「どうしてもそうしなきゃいけなくて。これから君のコーヒーを作れなくなるのを本当に寂しく思う」

「あなたのコーヒーをいつも楽しみにしていたから本当に寂しい(TT)いつも私の朝をスペシャルにしてくれていました。こんなにおいしいカプチーノをいつもどうもありがとう。」


2年間、自分の当たり前になりすぎててちゃんと伝えていなかったけれど、今までの感謝の気持ちを改めて伝えることができた。涙が出てきた。


彼は美味しいコーヒーを作る。

私はそのコーヒーを時間をかけて楽しむ。


それ以上に何か絆のようなものがあったように思う。それはここに暮らして、時間をかけて培ったものなんだと思う。

あと、当たり前と思っていることも、いつの日か当たり前じゃなくなる日が当然あるということにも改めて気づいた朝だった。

だからこそ日々の思い、感謝の気持ちだったり、幸せに気づいたら、後悔しないようにその場で伝えたいなと思った出来事でもあった。


あの極上カプチーノはもう飲めないのか、と思ったら寂しい。けどクリスがこれからもどこかでずっと元気でいてくれたらなと思う。


※朝起きてから、このカフェに到着するまでにはダーウィンもびっくりの進化論がなされている。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集