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#映画感想文281『バーナデット ママは行方不明』(2019)

映画『バーナデット ママは行方不明(原題:Where'd You Go, Bernadette)』(2019)を映画館で観てきた。

監督・脚本は、リチャード・リンクレイター、出演はケイト・ブランシェット、ビリー・クラダップ、エマ・ネルソン、クリステン・ウィグ。

2019年製作、108分、アメリカ映画。

本作をかいつまんで言うと、天才建築家が専業主婦の暮らしを20年やってみたら、いつのまにやら適応障害になってしまった、というストーリーである。

口が悪くて皮肉屋で、夫に責められ、近所のママたちには敵視され、バーナデット(ケイト・ブランシェット)の暮らしは八方塞がり。彼女の生きがいである、かわいくて賢い娘は寄宿制の学校に進学したいと言い出す始末。

ただ、暮らしているだけなのに、バーナデットは毎日に息苦しさを感じ、七転八倒している。口を開けば、シアトルやご近所への悪口しか出てこない。

昔の知り合いに会ったら、「君はアーティストなんだから、何かを創造しなきゃ。仕事をしていなかったら、社会の厄介者。さっさと仕事に戻りなさい」とアドバイスされ、何も反論できない。

「仕事が本当に苦しかったら逃げてもいい」という表現をよく耳にするが、逃げるだけでは駄目なのだ。適当な場所に逃げる必要がある。牢獄から牢獄に移動してはいけない。ただ、苦しいときにちゃんと逃げるってのは、それはそれで高度な技量が必要とされるのだろうな、と思う。逃げるときって、疲れているし、頭も働かないので、選択を間違うことも少なくない。

バーナデットは四回も流産しており、娘のビーとの絆はものすごく強く親密だ。ただ、こういう母と娘も、危ないよな、と思ってしまった。誰かの人生を支えることも大事な仕事だけれど、自分の人生を生きていないと、いつのまにやらフラストレーションが溜まるのだな、という作品だった。

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佐藤芽衣
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