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旅行と本来業務

先日、旅行をしてきた。旅行といっても、1時間以内で行ける近場である。それでも、知らない土地に行くと、頭はリフレッシュされる。やはり、見慣れない風景を前にすると、時間の流れがゆるやかになり、旅行前の出来事が遠く感じられる。これは面白い現象だなと思う。

わたしは元来、旅行が苦手な人間だ。ただ、ずっと自宅と職場を往復する社畜ライフを送っていると、強制的に移動でもしないと、休暇を取った手応えが得られなかったので、わざわざ旅行をしていた。

なぜ、旅行が苦手なのかというと、本来業務が滞る感じがするからだ。本来業務とは、日常生活のことを指す。だから、基本的には「非日常」を避けたい。これは、子どもの頃からの傾向で、遠足や修学旅行の前日は、かなり憂鬱になっていた。

今は、一人旅を自発的にするので憂鬱にはならないが、旅の行程を考え、荷造りをして、自宅を出て1時間ぐらいが、わくわくのピークである。その後は、下降線をたどる。

2泊3日の3日目なんて、予定を変更して、観光名所に行くのをやめて、新幹線に乗ってしまったりする。指定席を予約していたのに、自由席で帰ったこともある。我慢ができず、「一刻も早く帰りたい!」という謎の切迫感に襲われる。

あと、方向音痴ゆえに、スマホに頼りきりで、普段より、画面を見る時間が長くなってしまったりもする。

ただ、実際に旅行をして歩くと、空気感や雰囲気、地元の人とかわした言葉がふとした瞬間に蘇ってきたりもする。

間違いなく「経験」は大事。国道沿いのファンシーショップの見たことのないキャラクターとか、ビジネスホテルが見当たらず、誰ともすれ違わず、街灯もほとんどない田舎で迷子になり、スマホの充電が切れて死ぬほど怖かった経験など、お金では買えないものだ。(売っていても買わないけど)

そういえば、昔の同僚が「わたしは旅のために働いている」と言っていた。わたしは逆だった。「働くために、旅に出る(旅行でリフレッシュして潰れないようにする)」といったほうが正しい。我ながら、あんまりよくないよね。

定番の「やっぱり、家が一番」というフレーズは、非日常を経験したあとにしか出ない言葉だ。旅をしてはじめて、自宅のありがたみがわかったりもする。そういう点も含めれば、やはり「旅」は生活に必要なものだと思う。


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