#映画感想文283『イ・チャンドン アイロニーの芸術』(2022)
映画『イ・チャンドン アイロニーの芸術(原題:Lee Chang-dong: The art of irony)』(2022)を映画館で観てきた。
監督・脚本はアラン・マザール。
2022年製作、99分、フランス・韓国合作。
本作はイ・チャンドン監督の6作品を振り返っていくドキュメンタリー映画である。
人生はアイロニーに満ちている、というのが彼の人生観であり、それは作品にも色濃く反映されている。
俳優のインタビューも挿入され、作品が重層的に見えてくる。
そして、監督本人が撮影現場を巡っていくのだが、一番驚いたのは韓国社会の変化とともに、という意識の強さである。
韓国人にとっての「赦し」とは、大きなテーマである、という指摘もあった。日本に植民地支配をされたこと、朝鮮戦争、軍事独裁政権。光州事件や韓国の格差社会をつぶさに観察し、それを作品に落とし込んでいるからこそ、イ・チャンドン監督の作品は薄っぺらな私小説に陥らずに済んでいるのだろう。
イ・チャンドン監督が「すごい!すごい!」と言われているとき、わたしは半信半疑というか、映画好きって大袈裟で嫌だな、ぐらいにしか思っていなかったのだが、いやはや、イ・チャンドン監督は「すごい!すごい!」と形容するしかない監督であるので、次回作の公開を正座で待ちたい。
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