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映画『ブラックボックス 音声分析捜査』(2021)の感想
映画『ブラックボックス 音声分析捜査』を映画館で観てきた。2021年製作の129分の上映時間、フランスの作品だ。監督・脚本はヤン・ゴズラン、主演はピエール・ニネだ。
ブラックボックスというのは、飛行機の事故機のフライトレコーダーの通称。音声情報から、なぜ事故が起きてしまったのかを明らかにしていくことが主人公の仕事だ。
といっても、音声だけですべてがわかる! なんてことはなく、彼は足で聞き取り調査などもするし、音声を求めて、東奔西走するので、すごくアクティブだ。
まあ、最初から、不穏と言えば不穏だ。彼の妻は、航空機の認証機関に勤務しているのだが、認証した航空会社が次の転職先なのだ。これは関係としてズブズブすぎるだろう。出世欲を隠さない、上昇志向の強い妻。夫は目が悪くパイロットにはなれず、音声分析官となった人であり、航空業界において花形の仕事をしているわけではない。そのことに対して、忸怩たる思いもあるのかも、と思わせるシーンもいくつかあった。
監督のインタビュー記事を読み、この映画が作られた理由がわかった。
―現在の科学技術はどんな危険性を抱えているのでしょうか。
飛行機の操縦が進化し、AI(人工知能)を活用して自動操縦ができるようになりました。これは本来、パイロットを助けるためのシステムですが、わずか6カ月足らずの間にインドネシアとエチオピアで墜落事故が起き、その原因が自動操縦だったと判明したのです。
2019年にボーイング社のパイロット支援システムを搭載する飛行機「ボーイング737マックス」は飛行が禁止されました。
というわけで、自動運転や人工知能って、本当に大丈夫なの? あんたらの業界の癒着の問題は大丈夫なの? というの疑義が作品の根底にある。
結末の残酷さは、ああ、これぞ、フランス、ヨーロッパ映画という感じがした。ハリウッド映画のように大団円とはならなかった。観客に「この主人公をどこまで信用していいのだろう」と不安にさせるところもよかった。おすすめしたい。
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