#映画感想文350『ドリーム・シナリオ』(2023)
映画『ドリーム・シナリオ(原題:Dream Scenario)』(2023)を映画館で観てきた。
監督・脚本はクリストファー・ボルグリ、出演はニコラス・ケイジ、ジュリアンヌ・ニコルソン。
2023年製作、102分、アメリカ映画。
ある朝、ポールは娘から「夢の中のパパは傍観するだけで、全然わたしを助けてくれなかった」と告げられる。夢の中のポールは淡々と掃き掃除をしているだけで、娘の体が宙に浮いて叫んでいても、反応をしない。ポールは娘が見た夢の中の自分をいぶかしく思うが、他人の夢の中の自分のふるまいを責めるのもおかしな話。
妻と観劇に行くと、昔の恋人と出くわす。その恋人からも「あなたは夢の中に出てきたけれども、何もしなかったのよ」と告げられる。奇妙なシンクロニシティ。
徐々に周囲の人々がポールの夢を見始める。大学の教え子たちもポールの夢を見るようになり、知らない人々からは「どうして夢に出てくるのか」という質問がSNSに殺到する。異常事態にたじろぐポールだが、大学院時代の恋人の論文(元は自分のアイデアで研究できずにいたテーマ)が雑誌の『ネイチャー』に掲載され、落ち込んでいたということもあり、テレビ番組に出演してしまう。一躍、時の人となり、ちやほやされたポールだったが、人々の夢が変質していく。夢の中で何もしなかったはずのポールは、夢の中で暴力をふるい、危害を加え、殺したりするような悪の存在となってしまうのだ。
ポールの三日天下は終わり、周囲の人々から悪意を向けられるようになる。妻は仕事を失いそうになるし、娘二人も学校でイジメられてしまう。ポール本人も、学生たちからのクレームがあり、大学を追放される。
みんながポールの夢を見てしまう現象は、なんとユングの集合的無意識であったことが明らかになる。(そんなバカな…)結果的に、その集合的無意識を利用して、人の夢に侵入するインフルエンサーの仕事がこの世に誕生する。寝ていると、夢インフルエンサーが夢の中に入ってきて、サプリメントを売りつけようとしてくる。(うざい、うざすぎる)
自然発火的にバズってしまったポールは、それに浮かれてしまったことから、すべてを失う。(何も悪いことをしていないのに、ひどい目に遭いすぎ)さまざまなものを失ったポールは妻の信頼を取り戻したいと願うし、娘たちと一緒に暮らせるようになる日を待ちわびている。
教訓は、何があっても調子に乗るな、ということなのか。あるいは、SNSって集団的無意識みたいなもんだよ、ってことなのか。わからない。そのような、よくわからない映画であった。