#映画感想文220『アラビアンナイト 三千年の願い』(2022)
映画『アラビアンナイト 三千年の願い(原題:Three Thousand Years of Longing)』(2022)を映画館で観てきた。
監督はジョージ・ミラー、脚本はジョージ・ミラーとオーガスタ・ゴア、主演はイドリス・エルバ、ティルダ・スウィントン。
2022年製作、108分、オーストラリア・アメリカの合作作品。
『マッドマックス 怒りのデスロード』のジョージ・ミラーが監督で、そのギャップに驚く。世界観は全然違うが、フェミニズム的な要素は健在である。
物語を研究する孤独な学者のアリシア(ティルダ・スウィントン)が魔人のジン(イドリス・エルバ)と出会い、三つの願いが叶えられる、と言われる。
アリシアの孤独と魔人の孤独は違うのだけれど、二人は確かに「孤独」なのだ。人間の孤独を癒すために物語がある。物語には孤独を癒す魔力がある。
この映画は観る人によって解釈が異なるだろうとも思う。孤独なアリシアが見ている夢なのか、アリシアが創作した世界なのか、魔人のエピソードのひとつに過ぎないのか。
個人的には、物語が孤独を癒してくれるかどうかはわからない、と思っている。しかし、「孤独」を忘れさせてくれることはある。紛らわせて、やり過ごしていくことも大事だ。同じ人間はいないのだから、誰しもが孤独を抱えている。孤独を認識すらできない人生ほど味気ないものもないだろう。
ずっとそばにいて、孤独を分かちあえる魔人が来てくれたら最高だけれど、それってドラえもんがいてほしいと願う子どもの気持ちとそれほど変わらない。幼くても、年老いても「さみしさ」は消えない。
ひとりぼっちを噛みしめて、人生の味わいのひとつとして楽しんでいきたいと今は思っている。束の間の癒しに安堵するような作品だった。
(ちなみにアリシアを演じたティルダ・スウィントンは62歳。60代のヒロインが活躍する映画であることも喜ばしいことだと思う)
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