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佐藤芽衣
2023年5月16日 19:29
絲山秋子の『妻の超然』を再読した。無駄な贅肉が削ぎ落された端正な文体は実に簡潔で、するすると小気味よく読める。彼女が大衆的な作家ではないことが残念だ。おそらく、その原因は「隙のなさ」にあると思う。(平然と自己模倣を繰り返し、冗長で冗漫な無駄な描写だらけで、同じ擬態語を同じページで使ってしまうような雑な作家の作品の方が、ベストセラーになっていたりするのは、本当に不思議な現象だと思う。)本