彼が100均で買ってくれた桜のグラスの柄を今でも覚えている
春が近づき、桜モチーフの雑貨がショップに並び始めると、毎年胸がキュッと痛む。
15年前の春、100円ショップで買った桜のグラスが、私たちの儚い幸せの象徴だった。
15年前の3月
私は恋人と同棲を始めた。
ふたりとも若く、貧しかった。
築35年のボロアパートで一緒に暮らし始めた。
食器のすべてが、キャンドゥという100均で揃えたものだった。
季節は春で、桜の絵がついたグラスを彼がふたつ買ってきた。
その模様を今も覚えている。
それが15年後たっても胸が痛むモチーフになるなん