お正月のブルース
子供の頃からお正月が苦手です。
いろいろ大変な家庭で育ったので
お正月というのは、一年で最も孤独を感じてしまう数日間でした。
日頃、普通であることに何の価値も見出してはいないのに
お正月は、明るい普通の家庭がまぶしく見えてしまってね。
厳密には、普通の家庭なんてきっとどこにもないのだろうけれども。
そんなままで大人になった私は、
毎年お正月が近づくと、ほんの少し憂鬱になります。
お正月の寂しい記憶を、楽しい記憶で上書きしたい願望があるようで
毎年、綺麗なお椀でお雑煮を食べてみたりします。
黒豆を煮、栗きんとんを作り、重箱にそっと詰めたりします。
華やかなお正月飾りを並べてみたりします。
紅白歌合戦〜ゆく年くる年を視聴したりします。
ほんと暗いよねえ。
普通のお正月らしきものを、やってみたいんだろうね。
ああ自分って、ちっぽけで弱い! いくつになっても。
そして1月2日の夜あたりから
お正月の孤独は急速に収束しだします。
年々、孤独の収束が前倒しになってきました。
一年の初めを、毎年こんなブルーで始めるのもホントどうかと思うんだけど
もう、抗うことをやめた。
正月はブルーでもいいじゃん。
お正月はブルーなもんだと思えば、何とかやり過ごせる。
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