地球に優しい一杯に込めた、ある「想い」とは?【SEA GREEN/千葉県香取市】
2023年8月から、千葉県香取市小見川でプラントベースのコーヒーと焼き菓子販売を営む「SEA GREEN」のあやのさん。
無農薬・無肥料・動物性堆肥不使用など「地球に優しい素材」に徹底的にこだわったコーヒーと焼き菓子を通じて、自然と共に生きるエシカルなライフスタイルを提案しています。
今回は「SEA GREEN」のオープンから1周年を記念して、オーナー・あやのさんにお店の立ち上げの経緯や想い、そして環境問題への取り組みについてお話を伺いました。
まず知っておきたい。プラントベース・ヴィーガンとは?
「プラントベース」と「ヴィーガン」は、どちらも動物性食品を避ける食生活のことですが、微妙な違いがあります。
プラントベースとは、主に植物由来の食材を中心にした食事を指します。しかし必ずしも動物性食品を完全に排除するわけではなく、健康や環境への配慮に重点を置いているのが特徴です。
一方、ヴィーガンは動物性食品を一切摂取しません。「食」以外にも、衣服や服飾雑貨などライフスタイル全般において動物性製品を使用しないのが特徴です。アニマルウェルフェアや宗教的な観点など、精神的な信条によってヴィーガンを選択しているケースが多く見られます。
両者は似て非なるものです。しかし「食」の観点からすると、プラントベースはヴィーガン食の要素を、カジュアルに取り入れられる手段ともいえるでしょう。
SEA GREENでは動物性の原材料を使わず、プラントベース・ヴィーガンの焼き菓子やコーヒーを提供しています。
2023年に立ち上げた「SEA GREEN」。お店では、どんなことを展開していますか?
あやのさん:普段の営業では、屋外でテントを建ててコーヒーや焼き菓子を提供しています。コーヒーは無農薬栽培やフェアトレードの豆を選んで仕入れ、自ら焙煎したものです。オーダーごとにハンドドリップし、できたてをご用意しています。またコーヒーに合う焼き菓子もオリジナルレシピで手作りしています。すべてプラントベース・ヴィーガン対応で、できる限りオーガニック素材を使うのが、当店のポリシーです。
コーヒー以外には、季節ごとのドリンクも創作しています。例えば、夏にはレモネード、冬にはアップル系のあたたかいドリンクなどです。
あとは不定期ですが、千葉県や茨城県近郊のイベントにも出店しています。エシカル系や環境に関連したイベント、地域密着型のマルシェなどが多いですね。
エコ活動やサステナブルな暮らしを広めるための告知もおこなっていて、お店でチラシ設置などもしています。
あやのさんが「SEA GREEN」をはじめた理由や、きっかけは?
あやのさん:私はサーフィンが大好きで、サーフィン帰りに夕日を見ながら、ゆっくりとコーヒーを飲むことが至福のひと時でした。海に行くと心がリセットされる感じがして、今でもその時間がとても大切なんです。
「とっておきの幸せな時間」って誰もが持っていると思うのですが、そんな気持ちをシェアできる場所を作りたいと思い、お店を立ち上げました。
コーヒーに対しての特別な思い入れはありますか?
あやのさん:以前、都内のカフェで働いていたことがあります。無声映画と音楽が流れ、コーヒーのいい香りがただよう大好きな空間でした。そこに来る人たちも素敵で、お店のすべてに魅了されましたね。当時からの思いは、コーヒーをメインとしたお店を目指すきっかけをくれました。
「地球に優しい」をコンセプトにしている「SEA GREEN」。背景にはどんな思いが?
あやのさん:サーフィンが趣味なので、もともと海洋ゴミなどの環境問題に関心がありました。私は海のそばで生まれ育ったのですが、海岸がとにかく汚くて。幼い時から当たり前の景色だったのですが「当たり前ではいけない」という気持ちに変わりました。海を愛する自分に何かできることはないのか、という気持ちが生まれたんです。
お店を立ち上げるにあたって、環境に負荷をかけない素材を使いたいと思っていた時、Instagramで岡山県の動物保護活動家「Honey’s Farm Sanctuary(ハニーファームサンクチュアリ)」の存在を知りました。いわゆる家畜と呼ばれる動物や、傷ついた動物達をレスキューしている方々です。動物たちを取り巻くあらゆる社会の問題を目の当たりにし、とても衝撃を受けました。とにかく涙が止まらないほど心が揺さぶられ「自分も何かやらなくては!」という衝動に駆られました。「Honey’s Farm Sanctuary(ハニーファームサンクチュアリ)」の方々がもつ動物たちへの思いに私自身も共感し、ヴィーガンのお菓子を作るきっかけにもつながっています。
「SEA GREEN」を立ち上げるまでに、どんなエピソードがありましたか?
あやのさん:本当に多くの方々の支えがあって「SEA GREEN」が誕生しました。特にヘアサロン「PEACE HAIR(ピースヘアー、香取市小見川)」のオーナーさんなくしては、実現できなかったでしょう。オーナーさんとは昔から美容師とお客の関係としてお世話になっていて、コーヒー店をやりたいと相談に乗ってもらっていました。ささいな会話がきっかけで、少しずつ夢が形になっていったんです。普段テントで営業している場所が、まさに「PEACE HAIR」さん。オーナーさんが駐車場のスペースを貸してくださっています。
あやのさん:焼き菓子作りのアイデアをくださったのは、行きつけだったカフェのオーナーさんです。「コーヒーと合うスイーツを一緒に提供してはどうか」というアドバイスのもと、焼き菓子を作りはじめました。最初は米粉を使っていたのですが、妹の知り合いの農家さんが自然農法(農薬・害虫駆除・除草などをしない農法)でお米を栽培していることを知り、現在は素晴らしいお米を使わせてもらっています。
お店の名前「SEA GREEN」の由来について教えてください。
あやのさん:「自然や命を守りたい」という想いを込め、名付けました。宇宙から見た地球の景色を、見たことがありますか?地球は、海と緑が大部分を占めていて、私はその美しい景色が大好きなんです。私自身がサーフィンをしていることもあり、海という自然が身近にあります。地球を大切にしたい。「SEA GREEN」という名前は、そういった気持ちを表しています。
お店をはじめて、壁や苦難にぶつかったことはありましたか?また、どのように乗り越えましたか?
あやのさん:はじめた当初は私自身の心身が健康ではない状態だったこともあり、お店を開けるのか不安でした。でも「やりたい」という強い気持ちがあったので、無理をしない、自分のペースでやることを心がけて続けてきました。
テントが風で飛ばされたり、悪天候で営業できなかったりなど、苦難もたくさんありました。正直、お客さんが来ない日もあります。でも自然や動物たちのことを思うと、また頑張ろうと思えるんです。
お店に来てくださる方が、自然環境や動物倫理に少しでも興味を持ってくれると、とてもうれしいですね。ちなみに余談ですが、オープン当初1時間はかかっていたテント設営は、今では30分以内でできています(笑)。
あやのさんの心にある、曲げられない信念について教えてください。
あやのさん:大きなことはできませんが、環境問題や動物の倫理について少しでも知ってもらいたいです。まず知ってもらうことが、やがて考えるきっかけづくりになると信じています。考え方は人それぞれですが、知ることが第一歩です。そして知った後、どう行動するかが大切だと思っています。
最近では、ヴィーガンやプラントベースというキーワードも広く知られてきました。まだまだ認知度は低いですし、理解も進んでいません。流行りで終わらせず、ヴィーガンやプラントベースを選ぶライフスタイルが当たり前になればいいなとも考えています。
今後、お店をどのように展開していきたいですか?
あやのさん:なんとか1年やってきて、正直自分でもおどろいています。お店の形はどう変わるかわかりませんが、発信者として環境や動物保護について知ってもらうきっかけを与え続けたいですね。また、イベント出店も積極的におこない、より多くの人にSEA GREENを知ってもらいたいです!
最後に、これから「SEA GREEN」を訪れる人におすすめしたいメニューを教えてください。
あやのさん:すべて心を込めて作っているので、選ぶのは難しいですね(笑)。特におすすめなのは、やっぱり自家焙煎のコーヒーです。お客様の好みに合わせて、豆の種類を変えています。
さっぱりめが好きとか、濃いめが好きとか。味の好みで選んでもいいですが、その時の気分や感情を教えてくれてもOKです。お客様のために、アレンジしてご用意します。どんな方にも楽しんでもらえるよう、オーダーを受けてから1杯ずつハンドドリップでお淹れします。ぜひ一度、お越しください!
店舗情報
取材後記
最後までお読みくださり、誠にありがとうございました。私が「SEA GREEN」さんの存在を知ったのは、2023年9月ごろのこと。オープンしてすぐのことでした。私自身が高校生の時から動物や環境問題について強い関心をもっていたこともあり、お店に強く惹かれました。
お店があるのは、なんと私の地元である千葉県香取市小見川。ヴィーガン・プラントベースの焼き菓子作りをしていると知り、出店情報を調べすぐに出向きました。
私があやのさんに初めてお会いできたのは、茨城県稲敷市で開催された「フェルム・ド・フェス」です。もともとこのイベントには毎度参加していて、さらに小見川の出店スケジュールよりも早かったので、絶好のチャンスでした(笑)。
地元が小見川であることと「SEA GREEN」さんを探して来たことを伝えると、とても快くお話してくださいました。はじめてにもかかわらず、優しい語り口で語るあやのさんの姿が忘れられません。
それからほどなくして、小見川の出店にも駆けつけました。以来、マフィンやコーヒー、ラテをいただいています。私はあやのさんのオリジナルマフィンが大好きなんです。訪れるたびに、ストックをたくさん購入しています(笑)。
あやのさんが作るプラントベースのマフィンは、他のそれとはちょっと違います。某有名農園さんから直接仕入れた生玄米から作るマフィンなんです。お米の甘味がきいて本当においしい。植物だけで作られているだなんて、信じられません!優しい甘さともっちりした食感は、食べた瞬間にとりこになりました。以来、大ファンです。
今回は「SEA GREEN」の1周年を記念して、私からあやのさんへ直々にインタビュー取材をオファーさせていただきました。快くお引き受けくださり、感謝の気持ちしかありません。
インタビュー中も終始、優しい口調でお話しくださり、自然と共に生きることの大切さが伝わってきました。
「SEA GREEN」は、コーヒーを楽しむだけの場所ではありません。「私たちが日常の中でできるエシカルな選択は何か」を考えるきっかけを与えてくれる場所でもあるのです。
あやのさん、この度はオファーをお引き受けくださり、誠にありがとうございました。
お店の情報は、Instagramアカウント「SEEAGREEN」よりご確認ください!
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