インドのアクセサリー商人が、完全にシゴデキ営業マンだった話【指輪2つで6000円溶かした】
現在インド旅をしており、今はマハバリプラムという地域に2日ほど滞在している。
Shore Templeという8世紀初頭に造られた世界遺産を有するリゾート地だ。
私は昨晩、この小さなリゾート地で営まれる、とあるアクセサリー屋にて、6000円を溶かしてしまった。
どうにか肯定的に捉えようとしたが、無理なので、失敗体験として学びを得たと思うようにする。
日本でぬくぬくと育った私が、インドの商人の手玉に取られる一部始終を記録する。
偶発的な流れもあったかもしれないが、全てが策略で誘導されたのではないかとさえ思うほど、見事な接客営業であったので、事細かに記載していく。
(振り返ると、完全に彼のペースに飲み込まれていたことがよくわかる。
観光地に行く際に、騙されないように自戒を込めて。参考になれば幸いである。)
接触〜購入までの一部始終👨🏽🦱💍
まず、店の外からネックレスを眺めていたところ「店内のもの見ていきな」と店内に連れ込む。
パッと見たところ興味を惹く商品がなく、店を出ようとしたが「何が欲しいのか?」と聞かれ、今商品を出すから「座りな座りな」と席に着かせてからが、商談がスタート(笑)
手始めに、おっちゃんはチェーンの金属部分が古くて非常に微妙な商品を見せてきた。渋い表情を見せると、続いて金属部分が綺麗な指輪を袋ごと出してくる。
さらっと目を通したところで、2つほど「意外と可愛いやん…」「あの人へのお土産にいいかも」という指輪を見つけてしまった。(リング部分が少しチープにも思えたが、確かに石やデザインは確かに気に入るものであった)
少しだけ興味を示すと、指輪を私の指にはめる。
指輪の石の説明した上で「天然石だからとてもいい指輪だ」と、魅力を訴求する。
「ふーん、確かに綺麗だしな…」「安かったら買ってもいいな」
と言われるがまま興味が掻き立てられ、軽い気持ちで値段を聞いたところ、二つの指輪の値段を紙に書き出した。
2200
2600
ーーーー 4800 4400
1ルピーは1.87円(大体2円と換算して)、、、
いやいや…高いて!!!!
ここで指輪2つに8000円出すのはアホやん、、、日本だったら絶対買わんわ!!!(エセ関西弁炸裂)
「ノーノーノー!高すぎる!」と拒否。
すると、
「ならば、あなたの希望を聞こう。逆にいくらがいい?」
と問われた。
ここで、良心が働いてしまうのが日本人の性なのだろう。
この価格ならば、買ってもいいなと思う最高価格をここで提示してしまうのだ。
「2000…かな?」
彼が当初提示した価格の半分以下であるため、当然想像通りな表情をみせる。
(今思えばここで良心を持ち、相手の反応を伺っている時点で、勝負はすでについているようなものだ…。)
すると「あなたは一人か?結婚してるか?」と聞かれ、「結婚していない」と事実を伝える。
「僕には妻と子供の家族がいて、養う必要がある」「これはいい指輪だから、この価格だと赤字になってしまう」
そして最初に提示した金額から、少しだけ価格を引いてみせる。(4400→4000に)
いやーーー、、、変わらんわ。さすがに買わんよ??
しびれを切らして、
「これは予算オーバーだから買えない」と、店を出ようとした。
すると、彼は再び「あなたの希望は?」と紙とペンを私に委ねる。
「グッドプライスで頼むよ。あなたのグッドプライスはいくら?」___
このくだりを、2回ほど繰り返した。
気づけば私は、「3000」という数字を自身の手で記載し、彼と握手を交わしていた。
6000円という日本においてもそこそこの大金を引き換えに、そこまで必要でない2つの指輪を手にしてしまったのだ。
インドは、一回の食事は200円くらいで済むような物価の安い国である。
それにも関わらず、私が「3000」という数字を提示した際の心境は、「これも、彼からしたら安すぎるはずだッ…」と申し訳なささえ感じていた。
(冷静に考えれば、仕入れ値の何十倍だろうというのに…。゚(゚^ω^゚)゚。くぅ)
彼が手を打った際に「え?いいの?!」と喜んだのも束の間、支払いする中で冷静さを取り戻し、6000円を溶かしたという現実に打ちひしがれたのであった。。。
まとめ(?)
観光地の店舗商売においては、客とのリアルタイムでのコミュニケーションが全てであり、その巧みなコミュニケーションスキルを以てして生計を立てている。
そのため買う気がなくとも、一度入店してしまえば彼らの術中にはまってしまうのは時間の問題だろう。安易に入店しないことをおすすめする。
私は営業職に就いたことはないが、営業に通ずるテクニックが満載だったのではないかと思う。
最後にこのおっちゃんがサラッと成し遂げたテクニックの数々を思いつく限り挙げ、おさらいして終わろうと思う。
前提として好感が持て、信頼のできる人柄
スマートに相手を商談の場に持ち込む
だいぶ高めな価格設定と、魅力を適切に訴求することで、商品の価値を高める
トークでプライベートなことを聞き出して、共感を抱かさせて、距離を縮める
希望額を聞き続け、歩み寄りを見せる(返報性の法則でこちらも応えたくなる)
共通のゴールに向かわせる
(「win-winで取引しよう」「今の金額だと君だけがwin、僕は損している状態だ」「僕にも家族がいる」「これだと仕入れ値と割に合わない」などの発言が効いた)
最後まで読んでいただきありがとうございました🙏🏻Nandri〜!(タミル語で“ありがとう”の意☺️)