Medii設立3周年の節目に山田個人のnote始めます!
はじめまして。株式会社Mediiの山田裕揮(@medii_jp)です。
この度Mediiは2020年02月20日の設立から3周年を迎えることができ、事業もPMFの達成と共に成長を続け今年2023年のうちに追加の資金調達も予定するところまで来れています。これも全てはMediiに関わってくれているチームの仲間、エキスパートの先生、アライアンス企業の皆様、投資家を含めた多くの人たちの強い想いが紡いでくれたからだと心から感じ、感謝の気持ちでいっぱいです。
これから加速していくMediiが事業を進めていく中で、「情報発信」の大切さを日々感じることが多く、誰かの役に立つのならばと思い切ってnoteを始めてみることにしました。
noteを通して、ヘルスケア事業や医療関係者による起業の特殊性、事業・組織作り、医療制度や皆が気になるあれこれ、をデータを交えつつ山田の考えも含めできるだけわかりやすくまとめていきます。
自分達が生きた証として、社会に何を残せるのか?一貫して持ち続ける自分自身への問い
簡単に自己紹介をすると、リウマチ膠原病という免疫内科(自己免疫疾患などの難病や希少疾患がほとんど)を専門にする内科医を背景に、Mediiという医療スタートアップの代表をしています。
希少疾患や難病って馴染みがあまりないかもしれませんが、実は日本でも世界でも人口の約5%が一定確率で患ってしまい、現代の医学を以ってしても一生治らないことも多く、その半数は子供の頃から発症してしまう病気です。
最近だとアントニオ猪木さんが全身性アミロイドーシスで亡くなってしまったり、首相だった安倍さんも潰瘍性大腸炎で2度辞任へと追い込まれたり、多くの芸能人も持病があることを告白していたりもします。その疾患数はなんと7000種類以上あるとも言われ、まだ明確に定義さえされていない疾患もあります。
そのため、全国でも患者数が限られる故に専門医も数人しか居ないなどと限られることから、早期診断や、年々新しい薬剤が出てきている中で最適治療のアップデートがし切れない課題への対応が医療現場には急務となっており、そこに悩む臨床医を手厚くサポートするためのサービスを提供しています。
一見ニッチにも思えるこの領域の課題になぜ、私が人生を懸けて望むことになったのか。今回はその背景も紐解きながらざっくりお話してみたいと思います。
そもそもなぜ、医師という選択をしたのか。
もし同郷の方がいらっしゃったら是非お声をかけて欲しいのですが、私の出身は和歌山県和歌山市です。私の実家は医師の家系でもなければ、特殊な家柄でもありません。むしろ母子家庭で母の実家の祖父母が営む小さな個人商店の一間を借りて、近くの海や山で友達と遊びまわって、和歌山の温かい人たちに囲まれてのほほんと育ってきました。
(カメラが趣味なんですが、時々過去撮った写真を貼っていきます。)
医師になることを決めた背景には3つの理由があります。
1点目に、自ら体感した医療という尊い”力”が欲しいと考えたことです。
家族の死や自分の入退院の経験から大切な人が命や健康の危機に陥った時に直接役に立てる医療への憧れを抱くようになりました。
2点目は学術的な興味であり、3点目は日本における職業としての可能性でした。自分が医師になることを決めたのは高校1年生の冬で、それまでは「研究者としてノーベル賞を取りたい!」と振り返ると知的好奇心から突き動かされる知識欲のままに勉強していました。しかし、3点目に当たる日本における研究者の置かれる職業としての厳しい環境を考慮し、より現実的に食いっぱぐれはなく、学問として医学もまだまだ未知なことが多く極めて興味深い分野だと考えたことが決め手になりました。
医学教育現場の違和感と仕組みから課題を解決する喜び。
そうして実家から自転車で5分の立地にある(激近)和歌山県立医科大学の医学部に進学しました。
一つだけ今の事業に関わる医学部時代のエピソードを共有させていただくと、自分が受けている医学部のカリキュラムが”オカシイ”ことに黙っていられなくて、自ら人を巻き込んで必要な知見を得るための勉強会をしたり、講師いただきたい先生のところへお願いをしに全国飛び回ったりしていました。
何がオカシイかというと、医学部は本来患者さんを救う臨床医を育てることを目的としているはず(患者さんを診る医師を臨床医といいます)なのに、患者さんを診る実習が始まるのは5年生(当時)からと遅いのです。実際に卒後研修医になった先輩達に聞いてもいきなり現場に出てもなかなかわからないことが多く苦労も多いため、あれもこれも医学部の時に学べていれば…という話もよく聞いていました。
実際にヨーロッパの海外留学に行った時にも、他国は1、2年生時からまずはNurcingといって看護師の仕事でできるところからやってみようという現場を知る機会が作られているなど、より臨床実習に主軸が置かれているところが多く、明らかに日本だけ仕組みに違いがありました。
(この辺りは明治維新時の西洋の医学教育が取り入れられたプロイセン時代の仕組みがなんと現代まで続いてしまっている弊害もあり、名指しで世界で日本とカンボジアだけ国際的に医学部として認めない(主たる理由は、現場の実習が足りないから)という通達が約10年前に出ています。)
参考:https://droceanmed.hatenablog.com/entry/2019/04/04/224719
なので、医学部のカリキュラムは変えれなくとも自分たちが学ぶべき臨床に役立つ内容は能動的に学べるという理念で立ち上がった有志、仲間と自主的に勉強会をしていました。最初は関西の12大学医学部を中心に、最終的には全国80大学(当時)から集まる形で広がるまでの取り組みになりました。そしてそれは10年経った今も後輩達が続けてくれています。
そしてその時に、出会った仲間達や講師の先生方がMediiの医師メンバーとしてであったり、素晴らしい回答をしてくださる専門医として同じビジョンを共有して今の事業にも繋がっている。まさかこんな形で今も全国の先生方と取り組みを一緒にできるとは当時思っていませんでしたが、本当に多くの人に支えられて実現できています。
なぜ難病フォーカス?なぜ起業?
冒頭でなぜ難病や希少疾患に注力したサービスをしているのか、という話がありましたが、それは私自身が生涯治らない国が指定する免疫系の難病になってしまっていたことがきっかけです。和歌山に当時専門医がいなく苦労した経験もあり、自分が免疫系難病疾患が一番多い膠原病専門医になり自分と同じように悩む患者さん達のためになれたらと思いました。
医学部卒後は堺市立総合医療センターで研修を行い、膠原病領域の専門性を身に付けるため聖路加国際病院、慶應義塾大学病院で勤務し、リウマチ膠原病専門医になりました。そして兼ねてから興味があった研究でより多くの人を救うべく、研究の道も極めるため大学院での研究も行い医学博士号も取得しました。
専門医や医学博士の資格を取り、地元和歌山を含めて直接患者さんの力になろうと日々診療していましたが、どこか自分の中で社会全体で観た時の自分の関われる範囲に限界があることを感じていました。当然、私一人で診ることができる患者さんの数や専門領域、地域はやはり限られていて、全国同じ課題で苦しむより多くの患者さんの課題を解決するためには医療の仕組みから変えなくてはいけないという結論に辿り着きました。
それにはどのような手段が適切なのか徹底的に調べて考えて、結果として起業する道を選択しました。そうして3年前に立ち上げたのが「Medii」です。
Mediiを通じて描く医療の未来
Mediiでは、専門医の不足と地域的に偏在している社会課題の一助となるべく、希少疾患・難病領域を中心に、限られた専門医の知見と経験をオンラインでシェアする医師向けのサービスを展開しています。
現在医療現場において、専門領域はますます細分化し複雑になり、患者に最新の知識を提供し続けることは、医師にとってますます負担が増しています。特に、難病では患者数が限られているため、経験を積むことができない構造的な限界があります。多くの難病患者は働き盛りの20-50代の人々で構成されており、自分や大切な人が明日、難病にかかる可能性もあります。
私たちが目指すのは、限界に直面している希少難病の診療におけるこの構造的な問題を、信頼できる専門医に相談し、解決に導くことで克服することです。また、その専門医が適切に評価されることで、データを活用した未来の設計も可能になると考えています。そして、難病患者がより早期に診断され、最新かつ最適な治療を受けることで、彼らの日常を笑顔でいっぱいにしたいと考えています。
この事業についての詳細はまた別でnote書くのと、ここでは3周年を機にリニューアルしたHPをご覧くださいという案内にとどめます(笑)。
Mediiはラテン語で"本質"を意味し、本質的な医療の実現に向けてまだまだ途中ですが、具体的な道筋が見えてきたことから、急速に事業を拡大するフェーズに入っています。そのため、まだ出会っていない多くの仲間が必要であり、この世界観を共有し、実現したいと考えている方々と共に、Mediiの仲間として一緒に働きたいと思っています。少しでも興味を持ちいただけた方は興味ありボタンをクリックいただけますと嬉しいです!
最後に
長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。
今後のnote活動については、医療ビジネスや経営についての考え、私がMediiでの活動を通じて学んできたこと、皆にお役に立てるだろうことをありのままに書いていこうと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いします!
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