メディカルイラスト自信作3選
今回の記事では、仕事で描いた書籍『病気がみえる』シリーズから、私が個人的に気に入っているメディカルイラストを3つ紹介します。
メディックメディアのメディカルイラストの特徴
メディカルイラストを作る際は、「何を伝えるか」によってリアル調にしたり、デフォルメしたタッチを使ったり、さらにはそれらを組み合わせて、常に、親しみやすく、“伝わりやすい(=わかりやすい)イラスト”作成をこころがけています。
イラストは基本的にAdobeのIllustrator(Ai)で描いています。
イラストレーターの作業環境についてはこちらの記事参照
このアプリを使うと、パスでイラストを描ける(ベクターデータ)ため、
一度描いたあと、修正がしやすい
描いたモチーフの色を線と塗りで変えやすい
線の太さや表現を後から調整できる
などのメリットがあります。
監修を通して何度も修正が生じたり、時代によって変更が生じたり、同じモチーフを少し変えて流用したりする必要があるメディカルイラストでは、パスでデータを作成している方が効率的に制作が行えると思います。
それでは個人的に気に入っているメディカルイラストをご紹介〜。
1.手の内在筋の解剖イラスト
メディックメディアに入社して初めてデータ統括作業を任された『病気がみえるvol.11運動器・整形外科』から、手の細かい内在筋を4層に分けて見せているイラストです。
このイラストでは、細かな血管や神経は除き、筋肉と腱と骨だけにすることで、できる限りすっきりさせています。
そして、見せたい筋肉以外は彩度を落として、各層でどこが重要かが目立つようにしています(テキストにもピンク色のオビを敷いている)。
編集者から要望があった、内側の筋を見せるために前面の筋を切ったような表現を作りました。実際に層になっている感じを、各筋に影を付けるなどして重なり感を出して表現しました。
2.ロボット支援下内視鏡手術のイラスト
『病気がみえるvol.8腎・泌尿器』の第3版改訂時に新規で描き起こしたイラストです。こちらのイラストでは地面にあるであろうコード類を省き、壁色も目立たなくして機械の構造や手術全体の雰囲気をスッキリと見せられるように工夫しました。
ただ機械や手術室の風景を描くだけではなく、実際に手術をしている人を配置することで、どう動かすものなのかを見てすぐ理解できるようにしています。人物が入るとその機械の大きさなどもわかります。
実際に操作できそうな感じを出すため、色の塗り分けや影を付けて機械や空間の立体感や距離感を出すことを心がけました。ただ、どうしても細部まで描き込みすぎてしまうと、このイラストだけが紙面で浮いてしまうので、書籍の雰囲気を損なわない様に程よいデフォルメ感を残しつつ機械を描いています。
3.眼の調節機序のイラスト
遠くを見たときと近くを見たときの水晶体の厚さの変化する様子を図示したイラストです。
編集者から、毛様体筋とZinn小帯、水晶体の関係を斜めから立体的に見せたいという指示をもらい、作成しました。各構造にグラデーションやパースを付けることはもちろんですが、説明に使用している矢印も絵に合わせて立体的に配置しています。
斜めの角度から立体的に見せることで、毛様体筋の弛緩、収縮の表現がZinn小帯にどう影響し、その結果水晶体の厚みがどう変化するか、が断面図だけよりもよくわかります。
いかがでしたでしょうか。
『病気がみえる』などのメディカルイラストを見ていて、わかりやすいなと思ったビジュアル表現やここの描き方が気になる!などあれば是非コメントで教えてくださいね!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?