ぼくのとうさんは清掃車でしごとをしています。こどもの詩に着想を得て生まれた物語『ぼくのとうさん わたしのおかあちゃん』
こんにちは。メディアパルです。
今日は新刊ではないのですが、この夏におすすめしたい児童書のご紹介です。
その本『ぼくのとうさん わたしのおかあちゃん』を出したフロネーシス桜蔭社さんは、発行点数はすくないのですが、みなさんがどこかで出会った記憶のあるのでは?という内容の本を作られています。
2008年に発売した『くじらぐもからチックタックまで』、昭和40年からのこくごの教科書のおはなしベスト20をまとめたもので、教科書でしか読めなかった名作「くじらぐも」が、初めて教科書から飛び出した本でもあります。メディアパルではフロネーシス桜蔭社さんの本を発売代行させていただいているのですが、いまでも注文が入り続けるロングセラーです。
そして今日ご紹介したい本も、読んでみて、今回も長く読まれ続けるものになるだろうなと思いました。そして、強く思ったのは、書店さんの、夏の児童書売り場で、読書感想文におすすめの本としておいてもらいたい!ということ。
夏になると、こどもたちに読書感想文を書きましょう!と促す課題図書が全国の書店さんにならびます。読書感想文…夏休みの宿題で必ず出て、嫌いだった!という人も多いかもしれません。
私は本を読むのも文を書くのも好きな子供でしたが、宿題として提出する読書感想文は、書くのにちょっと工夫が必要だと感じていました。感想文といっても、自分しか読まない日記でもなく、評価されることを前提とした宿題で、ただ素直に感じたことを書くのって、難しくないですか?
よくあるテクニックかもしれませんが、わたしは大体2パターンで書いてました。ひとつは「先生あのね」的に、誰かに伝える形式で書いてみること。もう一つは登場人物を自分に引き寄せて「もしわたしだったら」どう感じるかを書くこと。
そして『ぼくのとうさん わたしのおかあちゃん』は、まさに「もし自分だったら」を考えるのにぴったりの本なのです! テーマがわかりやすくて考えやすいということもあるけれど、自分の家族、自分のまわりのさまざまなことに思いが及ぶ内容なのです。
自分のまわりに、あたりまえのようにあるほとんどのことは、誰かの仕事でできている。そんなことに気付くのは何歳ごろでしょうか。家族の職業から自然にそういうことを学ぶ人もいるでしょうし、大人になって自分が働くことを真剣に考えて初めて気付く、という人もいるかもしれません。
この本は、親の仕事をモチーフにした子供の詩に着想を得て生まれた物語がふたつ入っています。そのうちひとつの「ぼく」のとうさんはゴミの清掃車で働いています。たいへんな仕事をしているのは知っているし、大好きなとうさんなのに、作業服で働いている姿を見られるのは恥ずかしい気がしてしまう「ぼく」。ある日、クラスメイトにとうさんの仕事をバカにされて、言い返せなくて…。
なんとゆうか、この本は「教育的に良さそうなお話」ということもできるのですが、そういったものに感じがちのお説教臭さとか、押しつけがましさがないんですね。こどもの実感のこもっているというのが大きいと思いますが、笑いも涙もあって、わたしは素直に感動しました。ちいさいときにこういうところからいろんな仕事に目が行くようになったら、ちょっと世界がひろくなるな、きっと少し、深くもなるなあと思いました。
そんなわけで、この夏、お子さんの読書感想文の課題に悩んだら、この本を思い出してくれたらうれしいです。うれしいことに全国学校図書館協議会が選ぶ今年の「夏休みの本」にも選んでいただいて、お墨付きをもらった気分。
絵本ナビさんで紹介していただいた文章がすごく良さが伝わるものだったので、是非こちらも読んでみてください!
『ぼくのとうさん わたしのおかあちゃん』
作 :さくら文葉(さくら ふみは)
ISBN:978-4-8021-3198-8
定価:1,320円(本体1,200円+税10%)
発行:フロネーシス桜蔭社
発売:メディアパル