資生堂に学ぶ、企業アカウントのSNSマーケティング
個人アカウント > 企業アカウント の時代
今の時代、企業アカウントよりも個人アカウントの方が非常に影響力が強いです。個人のSNSアカウントで100万フォロワーを超えるものはありますが、企業アカウントではほとんど見かけません。これは、ユーザーが情報の信頼性や親しみやすさを優先しているためです。もっと言うと、
個人アカウント >>>>>>>>>> 企業アカウント
くらい個人アカウントの方が有利なのです。
ユーザーは信用できて、親しみやすい個人を探している
ユーザーは常に信用できる個人を探して、その人の情報発信を見たいと思っています。例えば、一時期隆盛を極めたクックパッドやクラシルのような企業発信のレシピが最近は不振なのは、ユーザーが信用できる個人を探し、その人のレシピを頼りにするようになったからです。
こういったレシピサイトが力を失う代わりに、バズレシピのリュウジさんやコウケンテツさんなど、SNSで情報発信を行う料理研究家の方が力を持ちつつあります。さらに、個人が発信すればその人の性格が出るため、親しみやすさを感じることができます。その結果、企業アカウントよりもより身近で親しみやすい関係性を築くことができるのです。
X(旧Twitter)についても、フォロワーを獲得できている企業アカウントは、個人の自我を出してキャラクター付けできているものばかりです。
では、企業としてのSNSマーケティングは、個人アカウントとして運用すれば良いのでしょうか?実は、そこには大きなリスクがあるのです。
個人を前面に出してSNSマーケを展開するリスク
企業アカウントが個人を前面に出してSNSマーケティングを展開することには、大きなリスクがあります。それは、担当者が退職することです。パーソナリティを前面に出してアカウントを運用している以上、担当者が退職してしまったら、そのアカウントの継続が難しくなるのです。
実際、企業アカウントの黎明期にXで人気を博したNHKのアカウント、NHK_PRは書籍が出版されるほどの人気でしたが、中の人は交代しています。
過去に自身が請け負った事例においても、YouTubeで見込み客を獲得したいということで、特定の担当者を立てて顔出しで配信することをすすめました。実際に運営を続けるうちにフォロワーも増え、コメント欄も活況になり、YouTube経由での見込み客も当初の目標通り獲得できるまでに成長しました。しかし、アカウント開設から2年が経過したところで担当者が退職することになり、運営の続行が難しいとして終了することになりました。
このように、企業が個人を前面に出すと、個人が退職した場合に終了となるケースが多く、リスクが大きいのです。
資生堂に学ぶ個人を前面に出したSNSマーケティング
この退職リスクを克服したのが資生堂です。社内公募によって選ばれた「デジタルに特化したパーソナルビューティーパートナー」たちが、YouTube、TikTok、インスタグラム、X(旧Twitter)などで情報発信をしています。
公式サイトを見ると、女性を中心に数十名がラインナップされており、それぞれが数千~数万フォロワーを獲得しています。
公式サイト
https://www.shiseido.co.jp/beautyconsultant/
このように、個人を前面に立てたとしても、複数人に分散させることにより退職された際のリスクが分散できるのです。
分散するメリットは他にもあり、ターゲット顧客層ごとにマッチした個人を打ち出せば、個々人のフォロワー数が少なくてもよりエンゲージメントが高い関係を築けます。資生堂のような化粧品の場合、性別、年齢、肌質、色(イエベ、ブルベ)などで属性が別れるため、ユーザーは自分にマッチしたアカウントをフォローすることが可能になります。
まとめ:企業がSNSマーケティングに取り組むには複数の個人を立てよ
企業がSNSマーケティングに取り組む際には、複数の個人を起用することが重要です。これにより、担当者の退職リスクを分散させることができ、アカウントの継続性を保つことができます。さらに、複数の個人を起用することで、各ターゲット顧客層にマッチした情報発信が可能となり、より高いエンゲージメントを築くことができます。
資生堂の成功事例から学ぶと、デジタルに特化したパーソナルビューティーパートナーを多数選出し、各プラットフォームでの情報発信を担当させることで、ユーザーに信頼される情報を提供し続けています。個々のフォロワー数が少なくても、ターゲット顧客層に合ったコンテンツを発信することで、より深い関係を築くことが可能です。
このように、企業がSNSマーケティングを効果的に展開するためには、複数の個人を活用し、それぞれの特性を活かしたマーケティング戦略を構築することが成功の鍵となります。
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