ヒットコンテンツを作るには名もなきブームを探せ
世の中に存在する名もなきブームを探せ
ヒットコンテンツを生み出すには、世の中に存在しているけれども名前が与えられていない現象に名前をつけることからはじまります。名前が与えられて初めて人々に認知されるわけですから、それが一般に普及するスタートラインに立つことになるんです。
まずは、名もなきのブームに名前を与えた結果、ヒットコンテンツになった例をいくつか紹介します。
ソロ活にズボラ飯。名もなきブームがヒットコンテンツに
多動力に錯覚資産、ビジネス書のヒットコンテンツ
ビジネス書でいうと、堀江貴文の「多動力」は、あれやこれやと色々なことに手を出してしまうが、「自分は何をするか」が定まっていないと感じている人たちが一定量いたんですよね。その人たちに「多動力」という名称を与えることで、彼らに一種の承認を与えたわけです。結果、多動力は30万部を超えるベストセラーとなりました。
さらに、ビジネス書の例で有名なのが、有名大学や有名企業における肩書などのラベルに人が影響を受けやすいということです。この現象を行動心理学ではハロー効果と呼びますが、このハロー効果を「錯覚資産」という直感的に分かりやすい用語に言い換えた書籍「人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」が12万部を突破しています。
ズボラ飯にソロ活。ドラマ化もされたヒットコンテンツ
料理研究が出すレシピは難しく、料理がめんどくさいと思う層がけっこういたんですよね。その人たちに向けて、材料も少なく簡単に作れるレシピを提供するマンガ「花のズボラ飯」は、「ズボラ飯」という名称をつけられ、発行部数50万部を超える大ヒットになりました。最近では、「ズボラ飯」がさらに進んで、「虚無レシピ」というレシピ本も誕生しています。
さらに、おひとり様でアクティビティを行う人たちも水面下で増えていました。このおひとり様でアクティビティを行うことを「ソロ活」と命名した書籍「ソロ活女子のススメ」は、その人気からドラマ化され、その後もシリーズ化されています。
名前を与えることで、人々に認知される
このように、世の中に一定量存在するがまだ命名されていない現象を見つけ出し、それに名前をつけることでヒットコンテンツとなり、時には社会現象にもなるんですね。
これは書籍を作るだけではなく、PRなどにも活用できます。たとえば、「指のストレッチをしよう」というよりは「指ヨガをしよう」と言うと、より多くの人の興味を惹けるわけです。名称を与えることで、人々のインスピレーションを想起しやすくなるんですね。
ブームの仕掛け人、みうらじゅんの方程式
この「名もなきブームへの名付け親」の元祖といえるのが、ゆるキャラの生みの親、みうらじゅんさんです。地方で活躍するものの知名度がイマイチなキャラクターたちがいるという現象に「ゆるキャラ」という名前を与えました。さらに、世間一般では流行っていないけれども、自分の中では流行っているという現象に「マイブーム」という名前を与えて一般化させたんですよね。
ちなみにみうらじゅん氏によると、ブームの作り方にはある種の方程式が存在するそうです。
面白いのは、命名されていない現象に名前を与えた後、それが誤解される過程を経て本格的なブームになるそうです。
確かに社会現象に至るブームは「自分はこう思う」とひとこと言いたい人が増えてきたときです。ひとこと言いたい人が増えて来ることで、ブームへの参加者が増えて、可視化されていくのです。
ちなみにみうらじゅんさんは、自身が命名したこういったブームを広げる活動を「一人電通」と読んでおり、くわしい一人電通の方法については「「ない仕事」の作り方」を読んでみてください。
ブーム化するコンテンツを作るには抽象化思考が必要
このように世の中の現象を観察して名前を与えるには「水面下では流行ってるんだけどまだ名称を与えられていない」ものを探し、その特徴を取り出して命名することが重要です。この命名をする際に、その現象を一度抽象化する必要があります。例えばゆるキャラであれば以下のようなフローをたどります。
地方で活躍している名もなき着ぐるみキャラクターたち
↓
有名キャラクターと異なり規則や縛りがない ←抽象化
↓
ゆるいキャラクタ=ゆるキャラ
このように、ブーム化するコンテンツを作るには、現象を俯瞰で見た上で抽象化する必要があります。
抽象化思考については次の記事を参考にしてみてください。
抽象化思考は最強の時短スキル
https://note.com/media_labo/n/n941baa1a38b1
ビジネス書しか読まない人が、アナロジーが苦手な理由
https://note.com/media_labo/n/n609f310b8d3d